強引部長の独占ジェラシー
「こっちを見ろ」
「嫌です」
手は繋がれたまま、私は部長とは反対方向に視線を逸らした。
「川島、」
もう一度、部長は私の名前を呼ぶ。
甘い吐息を含んだ声で。
びくり、とあまく身体が跳ねる。
だけどもう、後には引けなかった。きっと顔が真っ赤に染まっている。そんな顔、絶対に見せられない。
そうやってそっぽを向き続けていれば、部長は痺れを切らしたのか私の手を少し強引に引っ張った。
ーーグイっ。
「きゃ……」
ゆらり、と傾いた身体はすぐに部長の身体に包まれた。
「部長命令だ、顔見せろ」
「そ、そんなの職権乱用です……」
ぎゅう、と部長の胸に顔を埋めて絶対に見せないとでも言うように強く押し付けた。
「ほーう、じゃあ逆らうのか?」
「い、意地悪……」
仕方なくゆっくりと部長の胸から離れると、まだ冷め切ってないであろう顔を上げた。目が合うと部長はにやり、と笑う。
「真っ赤だな」
「うるさいです……」
さっきまでは確かに可愛いなんて思っていたはずなのに、気づけば結局いつも通り。
「ふっ、俺の気持ちを振り回したんだ。そのぐらいはしてやらないとな」