強引部長の独占ジェラシー
ゆっくりとテレビでもみるのかと思っていたら部長は静かな空間の中、優しく聞いて来た。
「朝から悩んでいたことはなんだ?」
「えっ……」
「仕事か?それとも俺か?今日1日楽しそうにしていたが、ところどころ浮かない顔をしていたと思ってな」
「部長……」
気づかれていたなんて、思いもしなかった。見ていてくれた嬉しさと心配させてしまったことが絡み合い複雑な気持ちだった。
「どんなことだっていい。俺に何かあるなら言ってくれ」
つくづく優しい人だと思う。
だけど、その優しさが今は少し苦しかった。
「部長は、私の事……本当に好きですか?」
優しいのはみんなが知っている。完璧な人だから、優しくて仕事も出来て、何もかも完璧な部長を知っているのは私だけじゃない。
「ああ、」
「じゃあ、好きって言って欲しいです……」
本当はもっと、私しか言われてない言葉を、私だけしか知らない部長を見たい。
ものすごく面倒くさい気持ちは積りに積もって心の中で肥大化していく。
「言ってほしいんです……っ」
ずっと不安だった。
今まで誰も好きになったことのない部長が私なんかを好きになったりするんだろうか。