強引部長の独占ジェラシー
もしかしたら、あの時勢いで言っただけで付き合ってみたらやっぱり好きになれないと言われ、いつかフラれてしまうんじゃないだろうか。
そんなこと考えていたら、全てに自信をなくしてしまった。
ぎゅっと手を強く握りしめたまま部長をみると、彼は眉をぐっ、と下げて私に言った。
「そうか、不安にさせていたか……すまなかった」
「いえ、あの、私も……すごくめんどくさい事言ってて……ごめんなさい」
「恋人の悩みを面倒くさいと思う男はいないさ」
ふわり、と私の頭を撫でる。
その手はとても優しくて、今フラれたとしても無かったものに出来そうにもない。
しばらく沈黙が続く。
不安になって私が部長を見上げると、彼はゆっくりと話し出した。
「元々、気持ちを言葉にするのは得意じゃないんだ……今まで一度もそうして来なかったから。いや、そうしなかった、という方が正しいだろう」
部長は私の頭を撫でる手を止め、自分の膝に戻した。
「それは好きだと思えなかったからだ」
ドクン、と強く胸を打つ。
続きを聞くのが怖くて、耳を塞いでしまいたくなった。
「言葉を偽ったことはない。好きでもないのに、言う必要性を感じなかったからな」