強引部長の独占ジェラシー



「純夏、愛してる」


まっすぐに落とされた言葉に全てがあった。私の中に流れ込み、不安だった心を包み込んだ。


幸せが溢れ出る。それと同時に私の目からほろり、と涙が溢れて来た。


「なぜ泣いてるんだ?」

「分かんないです……っ、幸せだなって思ったら急に涙が……」

「川島は泣き虫だな」


くすっと笑いながら、私の目じりから流れる涙を指で拭う。

涙で濡れてボヤけて映った部長の顔はとても優しい顔をしていた。


「純夏」

するり、と指を絡ませて、部長は静かに尋ねる。

「抱いてもいいか……?」

周りの静けさの中、ドキドキとうるさい心臓の音だけが響く。


「抱いて……下さい……」

じっ、と見つめ合い部長がひとつ、キスをする。するとふわり、と身体を抱き抱えられて、寝室に向かった。

優しくベッドの上に私を降ろすと、部長は私を引き寄せてキスをした。

それを合図だというように、甘くて愛おしい時間はいつまでも続いた。


緊張で震える私の手を包み込み、いくつも名前を呼んで甘く、とろけそうなキスをする。


ワレモノを触るかのように、どこまでも優しく、大事に抱かれた身体は幸せに満ちていたーー。




< 169 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop