強引部長の独占ジェラシー
「川島、」
「なんでしょう?」
仕事の話だと思っているのか、川島はきりっとした目でこっちを見る。
「俺はお前が足りなくて死んでしまいそうだ」
「ぶ、部長……!?誰かに聞かれたら……」
「構わない」
いつまでも完璧でいるなんて、人間なら無理だ。
慌てる彼女の手をそっと握る。
「疲れているからこそ、お前といたい」
静かに伝えると、彼女の顔がかっ、と赤くなる。すぐに赤くなる頬も恥ずかしさから不自然に逸らす仕草も全て愛おしいと思った。
すると川島はうつむく顔をゆっくり上げてから言った。
「私も……実は嘘つきました。本当は一緒にいたくて仕方ないです」
「川島……」
そろそろ戻らなくてはいけない。
俺は名残惜しくも川島の頬をさらり、と撫でる。
昔から自信はあったのに。
例え誰かと付き合っていおうともそれを態度に出したりはしなかった。職場ではまるで他人のフリだって出来た。
ましては感情を仕事に持ってくなんてあるはずが無かったのに。
「日曜日、空けておいてくれ。ゆっくり食事でもしよう」
「分かりました」
人はこんなにも変わるのだから不思議なものだ。