強引部長の独占ジェラシー
それから仕事に戻ると、引き続き案件の処理を行った。15時からは取引先の方の接待のため、外出をし、それが終わるとすっかり人がいなくなったオフィスに鍵をして駅まで向かった。ガラガラの電車で帰宅する。
無意識に眉間に皺が寄っていることに気がついて、昼間の川島の言葉を思い出す。
『ここ、皺寄ってますよ。あんまり無理しないで下さいね』
たったそれだけのことで頬が自然と緩んだ。
川島は今、何をしてるだろうか。
「会いたくなるな、」
自分以外の誰かに心を動かされる。
やっぱり不思議だ。
恋というのはーー。
***
そして約束の日曜日ー。
川島に外でご飯を食べようということを伝え、俺は車で彼女の家に向かった。
午後6時前。
辺りはすっかり陽が落ちて薄暗くなっている。
ーーガチャ。
「すみません、お待たせしました」
「いや、今来たところだ」
車のドアを開けて川島が助手席に乗りこむ。シートベルトをしたのを確認すると俺は車を走らせた。
「今日はどこに行くんですか……?」
「ゆっくり食事が出来る場所を見つけたんだ。お前と来たいと思ってな」
「嬉しいです……」
川島は嬉しそうに微笑んだ。