強引部長の独占ジェラシー
そのレストランは30階建てのビルの最上階にある。豪勢なシャンデリアに照らされた店内には、優雅なBGMが流れていた。
「お待ちしておりました、朝倉様」
予約した時間の少し前に到着しても、快く中へと案内してくれる。
一面ガラス張りの店内からは夜景が良く見渡せ、テーブルの上には、お洒落なキャンドルが小さく灯りを照らしていた。
「すごい……!」
川島が小さく声を漏らす。
椅子に座ると店員が飲み物を尋ねたので、俺はペリエと答えた。
「飲んでもいいぞ」
気遣いの過ぎる彼女はいつも俺に合わせようとする。今日もまた首を振り、俺と同じものを頼むので、家に帰ってまた飲み直そうかと提案した。
飲みものがやってくると、グラスを合わせて乾杯をする。かん、と小さく音を立て「お疲れ様」と声をかけると川島も「お疲れ様です」と返して来た。
グラスに口をつけ、喉を潤すと、やがてコース料理の前菜が運ばれて来る。
一口サイズにカットされた帆立の貝柱とアボガドが小さなカクテルのグラスに乗ったサラダで、中央にはイクラが乗っている。
「わ……美味しそう!」
川島はそれを見て目を輝かせた。