強引部長の独占ジェラシー
「いただきます」
ふたりで手を合わせて食事をする。ゆっくりした時間が取れたのは久しぶりだった。
「美味しい……」
川島は幸せそうな顔をして、一口ずつゆっくりと食べていった。
思ったことが、全て顔に出る。
彼女のそういうところも愛おしいと思いつつ、目元を細め、眺めていた。
きっと、こういった何気無い瞬間に愛しさを感じる時、人は目の前にいる存在を大切にしようと誓うのだろう。
ゆっくり会えなかった分までの出来事をお互いに話しながら食事をしていると次々と料理が運ばれる。
「んん〜美味しい〜」
デザートのフロマージュを食べていた時、川島があまりにも幸せそうな顔をするから俺もつられて笑顔になった。
「こんなに美味しいフロマージュ、初めて食べました」
「それは良かった」
すると、それを見た川島はくすりと笑う。
「ふふっ」
「どうした?」
「いや最近の部長、色んな表情見せてくれるなって思って……昔はちょっと近づき難いなって思ってたんですよ」
「ほーう?俺のフラれたところを盗み見してたのにか?」
「そっ、れは……本当にすみませんでした」
「冗談だ。まぁ、そうだな……自覚はある」