強引部長の独占ジェラシー
気を悪くしただろうか。
怒っているような表情には見えないけれど、部長はいつまでも目を逸らしてくれない。
絶対怒ってる……。
なんて考えもせずそのまま口にしちゃったんだろう。
「あの……すみません」
もう一度謝って決まり悪く部長を見ると、彼は口角を少しだけあげて言った。
「ナメるなよ、川島。」
「ひ……っ、」
私にぐいっと歩み寄り、じりじりと距離をつめてくる。部長は一歩、また一歩とゆっくり私との距離を縮めた。どんどん近づいてくる部長から距離を取ろうにも、イスの背もたれが邪魔をして、身体を後ろに引くことが出来ない。
「ぶ、部長……?」
そのうちにイスの横に手を置かれて、まっすぐに上から見下ろされる。
そして、心地いい声が耳元をかすめた。
「どっかの女、引っ掛けてくるほど相手には困ってない」
ーードキンっ。
部長の言葉に、声に、表情に、私の胸は大きく音を立てた。
「それに、キス出来ないは心外だな。
なんなら、今ここでお前にキスして証明してやろうか」
私は部長に射貫かれたかのように、動けなくなり、ただ目をぱちり、と瞬きさせることしか出来ない。