強引部長の独占ジェラシー
目を泳がせる川島にそう伝えると、彼女は驚いたように瞬いた。
「そうなんですか?」
「ああ、お前のことを考えると自然と顔がほころんでいく」
自分に本気の恋愛は出来ない。
ずっとそう思って生きてきた。
相手を傷つけるたびにどうすれば人を愛せるようになれるんだと考えて、最終的にはもう無理だろうと諦めた。
『まぁ、愛なんて俺には分からん感情だったのかもな』
前に一度つぶやいた言葉。
その言葉に対して川島は言った。
『部長なら、いつか本気になるくらい好きだと思う相手が出来ると思います』
他人の事であるのに、一生懸命に伝えて来た。その気持ちが本当に……。
『わ、私は……幸せです……!部長の部下でとても幸せです』
ーー愛おしいと思った。
俺に人を愛する感情を教えてくれたのは川島だ。
「川島がいなかったら、ずっとあのままだっただろうな」
「なんか……今日の部長、恥ずかしいです」
「恥ずかしい?」
「直球というか……その、照れます」
語尾が段々と小さくなっていき、真っ赤になる頬を隠すように下を向く。
その仕草にぎゅっと胸をつかまれる。
川島にこんな表情をさせたのも俺自身だと思うと言いようのない気持ちになった。