強引部長の独占ジェラシー


そして、それを開けて川島の前に差し出す。



「川島純夏さん、結婚してください」

「……っ、」

彼女は信じられないという顔をしてぱちり、ぱちりと瞬きをした。

小さな箱の中には、きっと川島に似合うであろうダイヤモンドの指輪が入ってる。


「……ぶ、ちょ……っ」

自分の冷え固まった心のテリトリーに初めて足を踏み込んで来た相手。そんな相手を大事にしていきたいと思った。

きらり、と光る指輪が川島の顔を照らす。目には涙が溜まり、やがてそれは頬を伝って流れ落ちた。

この指輪のダイヤのように綺麗だと思った。


「部長……は、私のことっ、本当に好きなんですか……」

「ははっ、今それを言うのか?」

「だって……不安なんです。部長は完璧でなんでも出来て……」

「そうでもないさ」

愛というもので人がこんなにも変わることを知らなかった。

彼女のことになると、こんなにも余裕が無くなる自分がいることも。


「本当に好きか、……それは愚問だな」


そんなこと聞かれるまでもない。


「愛してるよ、純夏。

俺がお前のことを一生幸せにする」


まっすぐに川島を捉えて、俺は言う。





< 182 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop