強引部長の独占ジェラシー


……部長は今、何を言ってるの?
これは夢?


今言われた光景をどこか遠くで見ているような気持ちになる。
しかし、現実は至近距離で部長が私を見つめている。


「ぶ、部長……!落ち着きましょう?疲れてるんです、お互いに!」


「俺は別に疲れてないが」


ふっ、と鼻で笑う部長に見惚れそうになってる場合じゃない。

そうこうしているうちに、部長は私のアゴを持ち上げてぐいっと近付いた。

キスされる……!?

ぎゅっと視界を遮るように目をつぶれば、上から声が落ちてくる。


「残念だが、」


ーーぎゅむっ。


「ふにゃ……!」


「俺にも、選ぶ権利というものがある。」


「へ……?」


ぱちりと目を開けるとそこには意地悪な顔をして微笑んでいる部長がいる。


降ってきたものはキスなんかじゃなきて、ただ部長が私の鼻をつまんだだけ。

期待して目をつぶってしまった自分が恥ずかしい。


「本当にするとでも思ったか?」

「…………っ」


――敗北。


まさにそんな言葉で表現するのが正しいと思った。


結局、肝心な事は聞き出すことが出来ず、極めつけのこの言葉を放たれた。


『俺にも、選ぶ権利というものがある。』


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