強引部長の独占ジェラシー
「うん、元気だよ」
「実はね、昨日宅急便に野菜入れて送ったから、届いたかなと思って」
「あっ、じゃあ不在票入ってるかも、帰ったら確認してみる」
「まだ家じゃないの?」
「うん、仕事が長引いちゃって……」
社会人になると同時に一人暮らしを始めた私。
家から通えないことは無かったんだけれど、独り立ちをしたくて家を出た。もう一人暮らしをして3年くらいになるけど、疲れた時ふと寂しさを感じることがある。
だから、母から贈り物が届くと、とてもほっとした。
「そう。働き過ぎて身体壊さないようにね。……で、今いい感じの人はいるの?」
「え”」
そう、母からの電話にほっとはするんだけれど、毎回のように聞いてくるこの質問はなんとかして欲しい。
学生の頃は母と恋愛の話なんてしなかったけど、今じゃ6割がこの話だ。そりゃ、この年で彼氏がいないって心配されてるのは分かるけど……。
自分でも多少なり焦っているから、母に言われるのは逆に嫌だ。
「今はね、婚活イベントが充実してるみたいだから調べてみたら?」
「うん……」
婚活イベントや合コン。友達もそこで知り合ったなんて話をよく聞くけれど、そういうところに顔を出す気分にはなれなかった。