強引部長の独占ジェラシー
部長の年だったら結婚を考えるのが普通だ。そんな人からの別れを告げられるって相当のものだよね。
どっちにしてもこんなに疲れた顔をしている部長を見るのは初めてだった。
「あの……大丈夫ですか?」
「何がだ」
「こ、心の傷とか……?」
私がそう言うと、部長はさらに眉をひそめて言う。
「川島。お前は変わったことを言うんだな」
変わったこと!?
「すみません、そんなつもりは……」
私が慌てているのを見ると、部長はふっと鼻で笑って試すように聞いてきた。
「気になるか?」
気に……なる?
その質問にどう応えるのか正解なのか分からない。
「何が知りたい?俺の弱みでも握りたいか?」
「ち、違います……!そんなめっそうも無い!ただその……完璧な人にも欠点ってあると思うんです。だから部長みたいな人でも欠点はあるのかなって思って……すみません、変ですよね……」
話しているうちに何言ってるんだろう、と我に返り私は慌ただしく否定して、後ろ手に買ったペットボトルのフタを触った。恥ずかしさを逃がす場所がなくて、強くペットボトルを握ると部長は不思議そうに聞いて来る。
「そういう性癖か?」
「な……っ、違……」
「違うのか?」
「違います!」
必死で否定したけど、恥ずかしくて部長の顔を見ることが出来ない。