強引部長の独占ジェラシー
ああもう、いっそ自販機で飲み物を買うところからやり直したい。
冷や汗を手のひらで拭っても一向に汗は引こうとしなかった。
すると、部長は考える素振りを見せてから、私に言った。
「うーん、まぁいい。少しくらいそれに付き合ってやろう」
付き合うとは……?
疑問が頭の中に浮かぶ。しかし、部長は私が深く考える前に次の言葉を言った。
「川島、俺がお前に欠点を教えてどうなる?俺にはどんなメリットがある?」
メリット……!?
まさかそんなこと聞かれると思わなくて、私は戸惑った、
部長が私に欠点を教えて得をすること……。
なんだろう。
ぐるぐると頭を巡らせて考えるけど、ちっとも思い浮かばない。正直言って部長にメリットなんか、ない。そう答えるのが最も簡単で、最も正しい答えだと思った。
「出てこないのであれば教えないぞ?」
だけど、せっかく部長が私に作ってくれたチャンスだ。ここで逃すわけにはいかない。そう思って頭をフル回転させて考えた末、思いついた答えはこれだった。
「えっと、私がその欠点克服を手伝います、とか……?」
ああ、たったこれっぽっち。
あまりにも拙い答えに自分でも呆れた。
「ふっ、」
部長はバカしたように笑うと、持っていたコーヒーを飲み干して歩き出した。
スタスタと足音を響かせて、こちらに向かってゆっくりと距離を縮める。
「ぶ、部長……!?」