強引部長の独占ジェラシー
落ち着いた物腰は大人の余裕を感じられ、当然のごとく、仕事が出来る彼はパーフェクトと表現する他ない。
彼は周りの視線を引きつけて離さない、完璧な人だ。
朝倉俊(あさくらしゅん)30歳。
現在、私の勤めるIT会社の部長である。
主にゲームコンテンツを中心に、営業部、デザイン部、広報部、システムエンジニアと分かれて活動している。
そのすべてを総括しているのが部長であった。
頼まれた仕事を何でも完璧にこなす彼は社長にもその力を買われていて、将来は社長候補とまで噂されている。
「川島さん、ちょっといいかしら?」
「はい」
私の上司にあたる鈴村さん。艶がある長い黒髪をさらりと揺らして歩く彼女もまた、男性陣が放っておかない存在だった。
「川島さんが提出してくれたこのキャラの服装なんだけど、もっと目立たせたいんだよね。今のままじゃ暗すぎるというか……」
「あ、はい。やり直します」
普段は優しいけれど、仕事では少し厳しい。そんな姿も尊敬出来る私の憧れの人。だけれども憧れはいつまでたっても憧れのままでどんなに私が真似事をしても到底追いつけることはない。