強引部長の独占ジェラシー
ひどく無責任な言葉なのかもしれない。それでも伝えずにはいられなかった。
だって、部長は人に愛のある言葉を送れる人だから。
そんな優しさを持った人はきっと、愛されて、その愛を返したいと思う日が来るはずだ。
しかし部長はもう諦めてると言いたげな顔をしてつぶやいた。
「……どうだかな」
寂しそう……。
遠くを見つめて、ため息をつきながら手元にあるグラスを口元に運ぶ。ごくり、と喉が動くのが色っぽくて私は慌てて目を逸らした。
「まぁ、愛なんて俺には分からん感情だったのかもな」
すとん、と上から落ちてくる寂しさを含んだ言葉が私を言いようの無い気持ちにさせた。
そんな顔しないで欲しい。
もっと、さっきみたいに笑って欲しい。
思わず手を伸ばそうとしてしまうほどに、気持ちはすぐそこまで出掛かっていた。
はっ、と我に返り自分の気持ちを抑える。
その時に気づいてしまった。
届くわけないのに、一番好きになってはいけない人だと分かっているのに、気づいてしまう。
ああ、私はこの人が好きなんだとーー……。
ぎゅっと握りしめた拳に想いを逃して自分に言い聞かせる。この人は好きになってはいけない。
それでも目が会うと、ドキンと音を立てる心臓だけは抑え込める気がしなかった。