強引部長の独占ジェラシー
「部長の家、結構野菜とか揃えてるんですね」
私がそう言うと、部長は決まり悪そうに目を逸らす。
「いや、ちょうど母親が大量に送って来てな。いつもはすっからかんだ」
「そうだったんですね」
意外だ……。部長のことだから私生活も完璧で自炊とかしちゃうのかと思ってた。
「さあ、食べましょうか」
全て並べ終わった私はイスに座ってそう促す。すると、部長は丁寧に手を合わせてから、箸を持った。
なんか、ドキドキする。
何気なく作っちゃったけど、こうやって誰かに手料理を作ったのは初めてだ。
口に合うといいけれど……。
緊張しながらも様子を見ていると、一通り料理に手をつけた部長は言葉をこぼした。
「美味い」
「良かった……」
ほっとして、思わず軽口が出てしまう。
「へへ、部長のおヨメさんになってあげてもいいですよ?」
すると部長はふっ、と笑いながら言った。
「ああ、お手伝いさんなら頼んでやってもいい」
「それって雑用じゃないですか~」
むっと、部長を見ながらもなんか、こういうのいいな。なんて思った。
誰かと向き合っての食事。
一人暮らしの私は黙って食事をすることに慣れてしまっていた。
こんなに賑やかな朝食は久しぶりだ。
それも目の前にいるのは、部長だなんて夢みたい。