強引部長の独占ジェラシー
「……やっと、終わった……」
時刻は午後20時。
オフィスは一部の電気が消され、がらんとしていた。
残業出来るギリギリの時間まで粘ってやっと完成した企画書。
「ん〜痛てて……」
凝り固まった肩をぐるぐると回しながら、首を横に曲げるとバキっと音がする。
はぁ、これはもう明日の肩凝り頭痛は覚悟しなければいけないな。
私は出来上がったばかりのデザイン案を印刷すると、部長のいる専用デスクに向かった。
フロアーふたつ分、離れている部長のデスクは透明のガラスで仕切られていて、そこから部長が周りを見渡せるようになっている。
コンコンとノックをして、声をかけるとどうぞ、という返事が返って来た。
「失礼します」
部長は机に座って、何かの資料を読んでいた。
「あの、イラスト案を載せた企画書が出来ました。ご確認お願いします」
「ああ」
部長は短く返事をすると、私から仕上ががった資料を受け取り一通り目を通した。
「うん、いいな。よく出来てる」
普段はあまり見せない笑顔をつけて、しかもスマートに、川島なら出来ると思ってたよ。なんて言われたら誰だって顔が緩んでしまうもので、そういうところがズルい、と思った。
「ご苦労様。気を付けて帰れよ」
「ありがとうございます。お先に失礼します」