強引部長の独占ジェラシー
ちょうどよいタイミングで河原くんが店員さんを呼んで、注文を済ませると私は出されたお水を口にした。
ほうっと息をつき、イスの背もたれに身体を預けると河原くんが言う。
「純夏ちゃんはいっつもお弁当なんでしょ?今日は作って無かったんだ」
「あ、うん……寝坊しちゃって」
部長のことをぼうっと考えていて、作る時間が無かったなんてとても言えないけれど、自分でも浮かれていることには気づいている。
「でもさ、すごいね河原くん。こんな所知ってるなんて……私もお弁当忘れたら今度からここに来ようかな」
「いいね、そしたら俺も誘ってよ!また一緒に食べよう。純夏ちゃんとお昼一緒に出来るとか本当に嬉しいからさ」
私は河原くんの言葉に口元をへの字に曲げた。
「もう、そうやって色んな女の子にそんなこと言ってるんでしょ」
私の疑いの眼差しに、頭をがしがしとかきながら困った顔をする。
「ひどいなぁ……俺が本気でご飯誘ってるのは純夏ちゃんだけだよ」
「口が上手いんだから〜」
本当なんだけどなあ、と河原くんがつぶやいたところで料理が運ばれてきた。
じゅくじゅくと音を立てて目の前に置かれるハンバーグに食欲が増す。
「おいしそう……!」
「じゃあ食べようか」