強引部長の独占ジェラシー
私は頷くと、いただきます、と手を合わせて食べ始めた。
思えば、ハンバーグを食べるのなんて久しぶりな気がする。一人分サイズのひき肉はあまりないし、昼はいっつもお弁当。夜はそこまで手の込んだものを作る気になれなかったから。
久しぶりの味を味わいながら私たちはゆっくり食事をした。
後から運ばれて来た食後のデザートもしっかり食べ終えると、時計は程よい時間を指していて、揃って店を出た。
1時間って外出するとあっという間に過ぎてしまうのに、スムーズに入れたからか落ちついて食事をすることが出来たのがすごく良かった。
「あ、河原くん、お金……」
私の分まで払って出てきた河原くんにお金を渡そうとすると。
「あ、いいよ。俺が誘ったから」
私のお金は受け取りません、とでも言うように手の平を広げて見せた。
「でも……」
「まぁまあ。今度また行った時に出してくれればいいよ」
今度……?
ニコニコ笑う河原くんの姿を見てたらちょっとしてやられたかも?なんて思ったり。
だけど、いいお店教えてもらえたからいいか。
そんなことを考えながら、オフィスに戻ると、河原くんはこの後すぐに外出なんだと言って資料だけ取ると、また外に出て行った。
営業も大変そうだな……。
私も自分のデスクに座り、午前中やっていた仕事のデータを立ち上げた。