強引部長の独占ジェラシー
そっか……部長だって昔は私たちがやっていることをしていたんだもんね。
素早い手付きで修正している姿を見ていると、つくづく部長はできる人なんだなと思い知らされた。
昔、アルバイトをしていた時。
店長に下のやつがやってる仕事なんてもう覚えてない、なんて言われたことをふと、思い出した。
出来る人っていうのは、いつだって人の見本になれるものだ。
そして30分後ーー。
「終わった……」
時間かかると思っていた仕事は部長の手によって、キレイにまとめられた。
「終わった……あの、本当にありがとうございます!」
「よし、行くぞ。今から行けば、まだ始まってちょっと経ったくらいだろう」
「はい」
私は頷くと、荷物をまとめ部長と一緒にオフィスを出た。
店はここから歩いて10分もしない場所だった。仕事も終わり、これから食事するだけだと思うといささか肩の力が抜ける。
「部長今度は飲みすぎちゃだめですよ?」
歩きながら冗談混じりにそう言うと、部長はふんと鼻を鳴らして言った。
「分からんな。お前がまた変な男に引っかからなければいいがな」
「……っ。」
部長の言葉に私の心はぎゅっと鷲掴まれたような感覚になった。