強引部長の独占ジェラシー
部長のデスクから出ると、緊張が緩んでいく。
部長が完璧だと言われる理由は、必ずやったことを評価してくれるところだ。
よく出来てると言われ、疲れ切っていた身体がすっかり軽くなった気がしてなんだか悔しかった。
私は別に部長の言葉になびかないぞって思ってたけど……あんな風に笑顔を見せて言われたら、みんな口を揃えてカッコイイって言うに決まってるよね。
私は自分のデスクに戻りパソコンの電源を切ると、カバンを持って人のいなくなったオフィスを後にした。
「さむ……っ」
時期は11月。
空気はぴんと張り詰めていて冬の準備をするかのように冷たい空気を泳がせる。
中と外の温度差が容赦なく、せっかくの解放感が一気に疲れに変わってしまった。
はぁ……お腹空いた。
昼間もまともに食べず仕事をしていたため、ぐぅと情けない音が響く。
このまま家に帰れる体力すら残っていない私はどこかでご飯を食べてから帰ることにした。
会社から数メートル離れたところにあるカフェに入って、温かいコーヒーとクリームソースのパスタを頼む。
先に運ばれて来たコーヒーを口にすると疲れた身体ががじんわりと回復していくような気がした。
身体を休めつつ、後から来たパスタをゆっくり食べれば、それを平らげる頃にはカフェに入ってから1時間も経過していた。