強引部長の独占ジェラシー


ひどいでしょお?なんて舌足らずな言葉を零しながら江川さんに向けて言う。


「ちょっと、河原くん……」


江川さん上司だよ、なんて小声で注意しても意味が分かってないみたいできょとんとする。しかし江川さんはそんなこと気にしていないのか次の疑問を私にぶつけて来た。


「川島さんは彼氏はいるの?」

「えっと……いないですよ」


嫌な予感がして引き攣った笑顔を浮かべると、彼は河原くんの方に視線を移してにやりと笑った。


「だって~やったな河原。どうするよ?」


江川さんの人柄がよく、話を盛り上げてくれるところは好きではあるんだけど、こういう所が少し苦手だったりもする。


「おっ、じゃあ俺……純夏ちゃんの彼氏に立候補します!」


河原くんも酔っていると、煽られるがままそんなことを言う。当然、酔いが回っている周りはそれを聞いて再び盛り上がり始めた。


「よし、カップル成立〜カンパーイ!」

「ちょっ、待って下さい……!」

「純夏ちゃんと俺の記念日にカンパーイ!」


だから嫌なんだってば……!


私の気持ちなんてお構いなしに、話がどんどん進んでいく。


「ねえ、本当に付き合っちゃう?」

「……ちょ……」


嫌なのに。


「ほら、純夏ちゃん、返事聞かせてあげなよ」


雰囲気を壊すんじゃないかと思うと下手に断ることも出来ずにいた。



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