強引部長の独占ジェラシー
5、部長の元カノ




「よし、終わり」


最終確認を終えファイルを保存し、相手先に連絡をしたところで、一度大きく伸びをした。凝り固まっていた筋肉と共に張り詰めていたものが緩んだところでぐぅ、とお腹が鳴る。


時計はちょうど12時を指している。
お昼にしよう……。


金曜日の夜、会社の飲み会があってから土、日と休んで出勤した今日。当たり前だけど、べろんべろんに酔っていた人たちも今はピシッと背筋を伸ばして仕事に取り組んでいる。


私はお弁当を持っていつもの自販機に行くと、やっぱり部長はそこにいた。

なんとなくいるような気がして足を向けたのは正解だった。


「お疲れ」

「お疲れ様です」


私にちらり、と視線を向けるなり、壁に身を預けてコーヒーを飲む姿は相変わらず様になっていて、胸がドキッと音を立てる。しかしそんなことも知らず、部長は淡々と言った。


「そうだ、川島。今日の午後、手空けられるか?」

「はい、急ぎのものは終わらせたので大丈夫ですが……」

「今日の午後からクリエイターの展示会があるのは知っているな?川島も一緒に来るか?」

「いいんですか!」


私は迷うことなく頷いた。


展示会は年に一度、ゲーム制作に携わった企業が集まり、イラストや原案、美術資料、設定などを展示していくイベントのこと。うちの会社からも毎年いくつか出展をしていた。




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