WHAT COLOR IS LOVE
水色の君
水色の液体の中で、君におぼれた。
目が覚めると、そこは、果てしなく続く、砂の海。
のどをカラカラに枯らして、僕は、君を抱いた。
あと少し。あと少しで、君と朝を迎えられる。
僕は、君のその無表情な瞳に見つめられて、理由もなく溜め息をついた。
君は、ねぇ、もしかすると、僕を愛しているの?
君はいつも、何も言わない。
悔しいから、僕も声を殺す。
昨日実は、君と離れたら生きていけないって思ったよ。
ゴメンネ。
他力本願な奴は嫌いだヨネ。
君はとても冷たくて、時々、本当に生きているのかと疑う。
そういう時、君は決まってお腹を鳴らす。
君のそういう何にも考えてないトコロが、いいトコロだよね。
君は、例えばとってもかわいいわけでも、若くてピチピチなわけでも、歌が上手いわけでもないけれど、君が必要なんだと、本当に思う時があるんだよ。
砂の色が、黄色から、だんだん水色に変わる。
だんだん、君に染まってしまう。
何もかも……そう、何もかもが………。
まるで僕を取り囲む全てのものは。
今までも、ずっとそうだったよね。
例えば、僕を愛してくれる、あの、とても優しい、美しい少女の名前でさえ、僕は、君の名で呼んでしまっていた。
君のためにできる事なんて、何もないけれど。
けれど今、君の渇いた体に、僕の体液を流し込んであげる。
それで君が救われるのかと言ったら、それはわからないけれど、僕には、それしかできないから。
君のために、と、僕は何度も言ったけれど、結局それは、ただの自己満足なんだ。
きっと。
君の癖を真似したり、君と同じ色を好んだり、君の好きな音楽をたくさん聴いたりしたけれど、それは、でも、なんだか、僕のひとりよがりだよね。
ただ、僕が君に染まってしまっただけのことで。
君はそれで、ちょっとでも笑ってくれたことはなかったものね。
君の笑った顔を、僕は見たことがないものね。
「ちっとも、気持ちよくなんかないんだよ?」
僕は、強がって言った。
君の体温があまりにも心地よくて、もう、眠ってしまいそうだった。
君は、僕から視線をそらす。
なんにも、できやしない。
僕には、本当に、何も。
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