WHAT COLOR IS LOVE
君がもし悲しんでいるのなら、僕は、喜びになりたいのに。
君がもし、痛くて泣いているのなら、医者にだって、ピエロにだってなりたいのに。
僕は、ただ、君の邪魔になる。
遠くへ行きたいと言った君を、引き止めることしかできない僕を。
一人になりたいと言った君を、抱きしめることしかできない僕を。
死にたいと言った君を、それでも生きていて欲しいと言った、身勝手な僕を。
いつまでも、いつまでも、君を必要とした僕を。
君は、咎めるでも、殺めるでもなく、見つめて。
僕は君の必要になりたいと、いつも望んで。
どうして僕には、もっと、思いやりがないんだろう。
もっと、優しくなれたら。
少しでも君を、撫でることができたらいいのに。
けれど僕は、どうしてもそんなに強くなれなかった。
だって、見てよ。
僕は、こんなにも君の色に染まってしまったよ。
ほら、もう、僕は君と離れたら、きっと、存在できなくなってしまうんだ。
僕を拒絶しないで。
僕は、多分きっと、君を、愛しているから。
「アタシは……。」
君の声が聞こえた。
君の口から、音が聞こえた。
もう、長い間聞いていなかったから、僕は君の声を忘れているかもしれないと思っていたけれど、やっぱり覚えていた。
「アタシは、あんたを、愛しちゃいないよ?」
君の声は少しかすれていて、やっぱり君も、僕と同じように、のどを枯らしているんだということがわかる。
今。今、僕が、君を潤してあげるからね。
「あんたは、アタシがいなくちゃ生きていけないと、思ってんだろ?」
愛しいよ、君が。
僕は、君が、愛しくて愛しくてどうしようもないよ。
その痛んだ髪の毛も、荒れた唇も、大きな手も。
嘘をつけない真っ直ぐな心も、平気で人を傷つける、強い生き方も。
全部が、痛いほど愛しいよ。
「死ねばいいのさ!あんた、死んだらいいのに!」
僕を殺す事なんて、とっても簡単なんだ。
君が、君が、死ねばいい。
「なんにもいらないんだよ、アタシは。ほんとに、なんも」
君の、ことを、愛しているんだ。
だから、こうして、君とたったふたりになれる所まで来たんだよ。
やっと、君とふたりになれたんだよ。
何の邪魔もなく、ただ、君と。
伝わるでしょう?
ほら、君を思う、僕の心が。
君と同じ顔で笑う僕を、もっと、もっとよく見て。
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