WHAT COLOR IS LOVE
やがて僕は、君に体液を流し込む。
僕の、この疲労と快感に満ちた顔を、ただひとり、君だけにあげる。
どうしようもない愛しさを抑えきれず、君にそっと口づける。
君は必死で唇を噛んで、やっぱり僕を拒絶する。
ああ、君が好きだよ。愛しているよ。
「僕の全ては、君のためにあるのさ」
くだらないことを、僕は言う。
君に、僕の言葉はとても無意味で、簡単に消されてしまう。
「知ってるよ。君が、本当は泣きたいこと」
それでも、僕は言葉をとめない。
沈黙を、怖れていた。
ひどく、怖がっていた。
そして、弱い僕は、それを君に悟られたくないんだ。
「君のために、僕は胸を貸してあげるよ」
君の水色の髪の毛を、何度も何度も撫でる。
「泣かない。アンタのためになんか、泣かないよ?」
君はきっと、泣くことができなくて。
だから、そのまま、君自身が涙色になってしまったんだね。
かわいそうな、愛しい君。
無力な僕に、身体を捧げて。
溶けてしまう。
君も、僕も、このままじゃあ。
だめだね。
だめだよ。
わかってるんだよ。
でもね、どうすることもできないんだ。
だって僕は、やっぱり君がいなくちゃ生きていけないし。
君のために、生きてるんだし。
君がたとえば、別の誰かのために微笑むのだとしても。
僕は、君のために、生きているんだ。
いいや。
君のせいで、生きてるんだ。
どうして、君は、生きてるんだろうね。
いいや。
知ってる。
僕が、いるからだ。
君が、死のうとする時、生きることをやめようとする時、僕は必ず君を引き止めているからだ。
生きて欲しい。
生きていて欲しいと、何度も言う僕の願いを。
君は、どうしようもない悲しい心で、叶えてくれていたんだね。
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