言えない言葉
地獄が始まったと思っていた私だが、祐介も意外と優しい一面を見せていた。例えば、教科書忘れた時見せてくれたり、隣との話し合いの時にちゃんと話してくれたり、勉強を教えてくれたりと様々な場面でさり気ない心遣いをしてくれた。
約一ヶ月後には席替えをしてしまったが、それ以降も学校やLINEで校長先生の話と同じくらい、いや、もっと長い時間を真剣な相談でも何気ない話でも笑って過ごせていた。
梅雨の雨がまだうるさいくらいに降っている夜に事件が起こった。それは、祐介が告白してきたのだ、しかも電話で。仲がいい友達として接してきた私は
「1日待って。」
としか言いようが無かった。
それに祐介は少し間を置いてから
「分かった。」
と答えた。
私はすぐさま八重子にLINEで相談した。
「助けて!八重子、告白されちゃった。」
八重子も準備してたように、既読が早く
「どーせ祐介からでしょ。」
「何で、何で分かったの?」
と驚きを隠せず私は言った。
「見てれば分かるって。さらに、最近は皆祐介と風花が付き合ってるかもとか言ってたし。」
これを見た私はより驚き、変なことを八重子に言ってしまった。
「祐介と付き合ってもいいよね。」
「ストッーープ。今言ったの違うからね!」
八重子は笑いすぎてLINEがなかなか打てなかったがようやく答えることが出来た。
「そんなこと言ってるなら付き合っちゃいな。あなたの心は祐介を欲してるんだよ。」
「そんな訳ないもん。でも、祐介といると楽しいと思ったことはあるよ。」
「それだよ!好きという感情は。」
「そうなのかな?」
「それしかありえないよ!」
「うーん。そうなのかな、多分。なら、私頑張ってOK出してみるよ。」
「よし、それでいいんだ。頑張ってこーい。」
「うん!」
八重子は、親友が付き合える事がとても嬉しく感じていたが、当の本人は何て送ればいいかで異常に悩んでいた。次の日になってから2時間が経とうとしていた時
「よし!こうやって言おう。」
「祐介と一緒にいると、楽しいし、嬉しいから私で良ければ付き合って下さい。」
これで決まりだと、送信しようとしていたが時間も時間だったので祐介にLINEするのは明日にした。
翌日、学校で祐介と会った時の気まずさは尋常ではなかった。さらに、八重子が茶化してくるのもかなり心臓に悪かった。そして、夜になり返信する時が来てしまった。
「私は祐介といると楽しいし、ドキドキするから、私で良ければお願いします。」
私は真っ赤な顔で送信した。心臓の音が1階にいる母に聞こえてる気がする程緊張していた。

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