【完】1輪の花たちは
「……………」
そこには、気を失ってるあかりちゃんがいた。
自分の手で………友達を…………
「よくやったな。スノー」
「…………」
「この花、なんていう花かわかるか?」
そう言うボスの手には、1輪の花が握られていた。
「ホオズキという花だ。漢字で鬼に灯りと書いて鬼灯」
「…………………鬼咲…………あかり……」
「こいつの名前か?ふーん……」
ボス以外のみんなは、遠くでこのやり取りを見ている。
「花言葉はな、偽り、ごまかし、半信半疑だ」
「………興味ない…」
私はそう言ってその場から離れた。
「っ…………!!!!」
ドアの近くには、ファミリーと、すみれちゃんがいた。
「すみれちゃん………」
「あ………その……ごめん…」
「…………」
「あはは……なんだ…私、本当に仲間はずれだったね………2人とも…そっちの世界だったんだ……」
「………騙してごめん…」
「ううん!いいの!嘘でも、めぐみちゃんが大切な友達って言ってくれて、嬉しかった!」
「………それは嘘なんかじゃ……!」
「……………」
「………すみれちゃん……」
「もう、居なくなっちゃうの?ミッション完了したら居なくなっちゃんでしょ?高校は……どうするの?」
「………ごめんね……」
私たちは、それ以上何も言葉を交わさなかった。
朝のチャイムが鳴り響く校内で、私たちは帰りの支度をした。
すみれちゃんは、ボスの手によって薬を打たれた。
睡眠薬だそうだ。
フキが保健室に連れて行くと言って先に屋上を後にした。
校長先生だけが私たちの正体を知っていた。
事を済ませた私たちは、もう用なし。
生徒のみんなには転校。という形で伝えられた。
これで、私たちの学校生活は終わりを迎えた。
帰り道、誰1人として言葉を発しなかった。