【完】1輪の花たちは
「………なにそれ…」
「そう思うよね。僕も初めはそう思ったよ。バカバカしいって」
「じゃあ、なんでこんな事してるの?バカバカしいならさっさと逃げちゃえば……」
「無理だな」
ここで、ボスが口をはさむ。
「え、なんで???」
「よく考えてみろ。簡単なことだ」
「え…………?」
よく分からない。簡単な事?なにそれ?
「僕たちは。そういう運命なんだよ」
そういう………うんめい???
「なにそれ。意味わかんない」
「あんな奴が親分なんだ。会ったから分かるだろ?あの目、反抗したら何されるか分からない」
ボスが、真剣な顔をして語る。
「俺達は、才能があるんだ。そういう関係の才能が。きっとスノーもそうだ。たとえ、親がここの一員だとしても、子供に才能がなきゃここに連れてかれはしない」
「じゃあ、私には才能があるというの?」
「少なくとも、ここにいる限りはな」
前髪の間から覗かせた目が、私を見つめている。
「…………」
私は何も言い返せなかった。
なぜなら、どことなく、親分の目と似ていたから。
これが、ボスの、上に立つ人のオーラなのか。
周りのみんなは黙ってボスの話を聞いている。
「そういう事だ。スノー。お前は来たばかりだろ?アジサ。スノーの部屋を案内してやれ」
「なんで俺……?秘書のフキがやればいいじゃん」
「そういうなよ。ボス、悲しい……」
「あぁ………うざ」
そういうと、なんだか危ない武器を置いて立ち上がった。
「すし」
その1言をいうと、私に目でついて来いと訴えた。
黙って私はついていく。
部屋を出たところで中から話し声が聞こえた。
「やったぁー!今夜はすしだぁー!」
「ボスの奢りかぁ♪」
「まてお前ら!俺は1言も……!!」
「「「ありがとーうございまーす♪」」」
「っだああああああ!!!ふざけんな!アジサアアアアアアアア!!!」
このグループ……いいや、ファミリーはどこまでもうるさかった。