【完】1輪の花たちは
「お前はしばらくアジサの所でお世話になれ」


突然ボスからそう言われた。


「はぁ…なんで俺」


アジサは、相変わらずのやる気の無さ。


「しかたねーだろ?ムスカとフキは俺んとこで動いてるし、ユリはいつも外にいて初心者のスノーには危険すぎ。ベリーはベリーで危ない情報を扱ってるしな」

「だったら俺だって武器扱ってるし…」

「お前はあれだろ?カスタマイズしたやつだろ?なら安全じゃん♪ついでに、武器の使い方とか教えといて〜」

「なっ……」


どうやら心底嫌そうだ。

申し訳なく思った私は、ついに口をはさんだ。


「あ、あの。ボスの所にいちゃダメ?」


その言葉に、部屋にいた皆がこっちを見る。


「リ、リトルガール??本気かい?」

「ボスの所にいたいって言いました?」

「うわぁー!趣味悪いね!」

「しっ!ユリ!そういう事言わない!」

「おいお前ら。俺をなんだと思ってるんだ?」

「え、ボスってそんなに皆から嫌われてるの?」

「そんな事言うなよぉー。俺、悲しくなってくるぅ〜」


なんだかみんな。私の言葉に意外性を抱いている。

なんか変なこと言ったかな?


「まぁ、そんなに俺のとこにいたいなら良いけど……」

「まって。俺が面倒見る。だからボスはやめとけ」

「ありゃ?アジサが珍しくノリ気??良いねぇ♪最後の言葉が気にいらないけど」

「え、でも、いいの?」

「うん…べつに」

「それじゃ、アジサ。スノーを頼んだぜ〜。よし、話は以上だ。みんな各自やる事をするように〜」

「「「「「「Yes ボス」」」」」」


ここに来て、ほんの数週間。

慣れるまではこの部屋でのんびりしてろと言われ数週間。

他の部屋に行く時は助っ人を連れて行くようにと注意されたのは、何日か前。

同じ家に住んでいても、レベルが違うから下手すれば怪我をするよと言われた。


自分の部屋は、寝る時、着替える時以外は使わない。だから、16歳なりに、可愛く飾ろうとしても、小物もないし、お金もない。

みんな、どうやってお金を貰っているのだろう?

親分から支給される?いや、あの親分に限ってそれはない。

よし、こうなったらアジサに聞くか!と決めたのはほんの数分前の出来事。
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