【完】1輪の花たちは

重い足取りで私は外を出た。

某コーヒーショップでコーヒーを買った後

なるべく冷めないうちに早く帰ろうと早足で歩いていた。


「あ!めぐみ!!」


突然後ろから話しかけられた。

めぐみなんて呼ばれるのはいつぶりだろう???

そう思いながら、振り向いた。


「やっぱりめぐみだよね!よかったー!」


大きな袋を抱えて、小走りでこちらにやってくる。


「えっと………。ユリ?」

「たけるだよ!」


あ、たしか、ニックネームで呼ぶのはファミリーの間だけだっけ?


「あぁ。そうだったねたける。どうしたの?」

「買い物行ってた!めぐみは?」

「私はベリー……じゃなかった。すみれのコーヒーを買いに」

「なるほど!パシられてるんだね!」

「うっ……。やっぱそう思うよね…」

「うん!可哀想に!」


そういって、頭をヨシヨシされる。


「ふふっ……ありがとう♪」

「!?………い、いやぁ〜照れますなぁ〜///」


そう言ったユリは、ほんとに照れていて顔が赤く染まっていた。


「これから、戻るの?」

「うん!すみれに用があるからね!」

「なら、一緒に帰ろうか♪」

「やったぁー!かえるかえるー!」


ユリは、どうしてこの闇社会に自ら入ったのか分かんないほど、無邪気に笑っていた。
< 34 / 183 >

この作品をシェア

pagetop