【完】1輪の花たちは
私は気づいたら動いていた。
アジサから貰った武器を手に
「っ!?スノー!」
ムスカが私に呼びかける。
でも、そんなもの私の耳には届かない。
無我夢中で、武器を相手にむけて攻撃をする。
何かをしようとしたムスカが、私の顔を見て動きを止める。
そう。邪魔しないで。そのまま、動かないで
正気に戻った時には、敵はみんな倒れていた。
「なに……これ……?」
私の手には血がついている。
「あっ……みんなは……」
私は周りを見てみんなを探した。
すると、端の方にボスと、みんながこちらを見ている。
「みんなっ!」
私は駆け寄った。
「大丈夫!?怪我ない!?」
「あぁ。大丈夫だ。止血はしてある。アジサも今は眠ってるよ」
「良かったぁ…………。てか、ボス!どこにいたの!?」
「俺か?俺は………まぁ…色々と?」
「まったく…ふざけないでよ」
「あっはは!まぁ良いじゃん。俺、スノーの実力を見たくてさ。わざとみんなの出動を遅らせたりしてたんだ〜」
「はぁ?」
意味がわからない。
「ちょっと!みんな!突然通信が途切れたから来ちゃったじゃん!」
ベリーがそう言って駆け寄る。
「って………うわぁ……なにこの人の数。これ全部ボスがやったの?」
「いんや?俺じゃなくて、スノーがやった」
「え?スノーが?」
そう言って、ベリーが私を見る。
「うわ。ほんとだ。すごい血がついてる…それ全部返り血?」
「わかんない……記憶になくて……。気づいたらこんなんになってた………」
それを聞いた皆は、顔色を変えた。
「スノー……それ、本当なの?」
ユリが聞く。
「うん…なんか、皆が倒れていって、居なくなるのが嫌だったから………それで………」
「もしかしたら、僕たちのやられっぷりがスノーの地雷を踏んだのかもね」
そうフキが言う。
「案外、仲間思いなんだな!スノーって!」
そう言って立ち上がったボスは、人が沢山倒れている所に歩み寄って、何かを置いた。
「さてと。帰るか。ここに長居してたら血の匂いで気が狂っちゃう」
「怪我人はボスが運んでよね?僕とスノーはか弱くて運べないから♪」
「スノーはともかくなんでベリーまでか弱いんだよ」
「僕、か弱いよね?スノー?」
「え、あ、たぶん?」
「うわ。スノーを味方につけるとか最低だな」
「ボスに言われたくないもん!」
そんな会話をしながら、私たちは家へと向かった。