【完】1輪の花たちは
「あははー!その通りだー!とか思ったでしょー?」
「え、あ……」
「ボスってすごいよねー!初めの印象だけで名前つけちゃうんだもん!それで、イメージとピッタリなの!」
ユリって、闇が深そう………
「………………俺ね…自分からここに入ったんだ」
いきなり、真剣な顔になるユリ。
私は黙ってそれを聞くことにした。
「俺、好きな子がいて。小さい時からずっと好きだった。今も好き。でも、会えないんだ…」
ユリに好きな人がいたなんて、驚きだ。
「その子、小さいながらにいろいろ悩んでて。辛そうだった。でも、俺がふざけてるのを見ると心の底から笑ってくれたんだ………なのに……」
私は、言葉の続きを待つ
「その子、いなくなった。突然消えたんだ。裏社会の娘だったらしくて。これ以上表で目立ったら大変だからって。俺の前からいなくなった」
…………。
「だから俺、ここに入ろうって決めたんだ。あの子が心から笑ってくれた俺のこの陽気さを、捨てずにやってたら、見つけてくれるかなって。だから………おれ………」
ユリは、そこまで言うと俯いた。
「ダメだった………」
「え……?」
「ダメだったんだ。会えたのに……俺は…」
「………?」
「殺したんだ」
…………………………………………え?
「ボスからの命令で、ファミリーごと消せって言われたから………そこにいるって知らなくて…」