【完】1輪の花たちは

「何話してたんだ?」

「あ、ユリの過去について……ちょっと…」

「そうか。ユリの過去は辛いよな。大切な人を失ったんだ。ボスを殺ろうとするのも無理はない」

「え?殺ろうとした?」

「もしかして、そこは聞いてなかったのか?………………………………やっぱり黒歴史だったか…」

「やっぱり、恨んでたの?」

「ああ。そうみたいだな。ボスに毒をもったりバットで殺ろうとしたり」

「そうなんだ…」

「ユリの相棒がバットなの、なんでか聞いたか?」

「聞いてない…」

「そのバットで愛しの人を死なせちゃったからな。ユリは、そこにいるみたいと言って俺らが新しい物を買ったとしても使ってくれないんだ」

「だから部屋にバットが何本か落ちてたんだ…」

「だな」


いつも笑顔な人は、裏に何かを抱えていると聞いたことがあるけど、その言葉はユリにぴったりだ。


「ついたぜ✨ここが俺らの中庭だ✨」

「うっわ…ひっろ…」


中庭の一部を所有してる………

学校の校庭くらいはあるんじゃないか…

いや、皆からしたら狭いのか?


「どうだ?ベンチに座ってトークと洒落こもうじゃないか…✨」

「そうね。お話ね」

「ああ、そうだ✨✨✨」


中庭の影になっている所に、ブランコみたいな揺れるベンチがあった。

どうやら、ベリーが設置したらしい。

中々乙女だな……ベリーって…


「さぁ。スノーは何を知りたいんだ?」


座って早々、ムスカが聞く。


「………知ってるくせに」


その喋り方から、私が知りたい事もうとっくに把握済みなくせに、いじわるだ


「はは。そうだな…。簡単に言えば、俺はボスにうんざりしたんだ」


ナルシストでちょっとこじらせてるムスカが始めに言った昔話の冒頭は、残酷なものだった。
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