To a loved one 〜愛しき者へ〜
〇〇がない!!
「チュッ」
武田真夏は、マカロンに軽くキスをしてから食べた。
━━躑躅ヶ崎女子高天守。
真夏は大好きなマカロンを食べながら、今後の戦略を練っていた。
「ま、真夏様...。」
ガッカリしたような声で、真田純奈が天守に来た。
「あら純奈、どうしたの?」
と、真夏が訊く。
「━━ないんです、何処にも...。」
と、純奈が言った。
「何か失くしたの?」
真夏が心配そうにする。
「塩アイスがないんです...。
スーパーにもコンビニにも...。
どうやら、甲斐地区全域から塩アイスが消えたようです...。」
と、純奈が答えた。
「えーっ!!」
真夏は、両手で自分の頭を押さえて言った。
━━困った時に、頭を両手で押さえる...。
これも真夏の癖である...。
「私も好きなのに...。」
と、真夏もガッカリした。
━━塩アイスとは、以前ある女性アイドルグループのメンバーが、焼肉屋で食事をした際に、店員の《シューアイス》を《塩アイス》と聞き間違えたというエピソードがあり、それを商品化したもので、この時代の女子高生に大人気のデザートである。
「何で...。」
真夏はしばらく考えていたが、
「もしかして、今川...!?」
と呟いた。
塩アイスを製造してる工場は、駿河地区と相模地区にある。
きっと、同盟破棄に激怒した今川ちはるが、北条飛鳥と結託して工場から甲斐地区への出荷を止めたのだと、真夏は思った。
━━この時代の女子高生は、かなりの力を持っていて、大名クラスの女子高生なら、工場に頼んで出荷を止める事など、そう難しくはなかった。
「ちはると飛鳥め...。」
と、真夏は言った。
甲斐は、駿河と相模から塩アイス止めをくらってしまった。
「こうなったら、意地でも駿河を制圧するわ!!」
真夏は拳を握りしめて、
「純奈、戦の準備をお願い。」
と、純奈に言った。
「かしこまりました...。」
純奈は言ってから、
「ただ...。」
と言葉を濁した。
「どうしたの?」
真夏が訊く。
「今川は北条とも同盟を結んでいるので、すぐに動くのは危険かと...。」
と、純奈は言った。
━━真夏達が駿河に攻め込んだ隙に、北条が攻め込んで来るかも知れない...。
「━━それもそうね...。
少し様子を見ましょう。」
と、真夏は言った。
「甲斐の武田が、駿河と相模から塩アイス止めをされているようです。」
と、直江かりんが言った。
━━春日山女学院天守。
かりんと上杉一実は、窓から外を見ていた。
「そうみたいね。
きっと同盟破棄されたかからかもね。」
と、一実は答えた。
この時代の女子高生にとって、塩アイスはとても大切なデザートである。
勿論、一実やかりんも塩アイスが大好きだ。
「一方的に同盟破棄した真夏にも問題あるけど、それにしても塩アイス止めはやりすぎだよね...。」
と、一実はかりんを見た。
「少々、やりすぎかと...。」
と、かりんが答えた。
「......。」
一実は少し考えてから、
「かりんちゃん。」
と、声をかけた。
「はい。」
かりんは一実を見た。
「ちょっと、一緒に来て欲しいんだけど...。」
と、一実は言った。
━━数日後。
「真夏様!!」
と、純奈が天守に駆け込んで来た。
「どうしたの?」
真夏は、びっくりした様子で純奈を見た。
「塩アイスが入荷しました!!」
と、純奈は嬉しそうに言った。
両手には、塩アイスが沢山入った袋を持っていた。
「えっ、本当に!?」
と、真夏も笑顔になって、
「ちはるが、塩アイス止めを解除してくれたのね。」
と続けた。
「今川ではございません。」
と、純奈は答えた。
「え?なら飛鳥?」
と、真夏が訊く。
「北条でもございません。」
と純奈。
「じゃあ、誰が...?」
と、真夏は首を傾げた。
「越後の上杉一実様です。」
と、純奈は答えた。
「!?」
真夏は目を丸くした。
《上杉一実》の名前が出てくるとは、思ってもいなかったからだ。
「一実が!?」
と、真夏は言った。
「はい、塩アイスの工場が越後にもあるらしく、上杉一実様が越後の工場に、甲斐への出荷を頼んで下さったようです。」
と、純奈が言った。
━━純奈は、上杉一実の事を《一実様》と読んでいる。
同盟を結んでいる相手校ならまだしも、敵の大名に《様》を付けるのは珍しい。
一実は、その真っ直ぐな性格から、敵の女子高生達からも尊敬されているからである。
「一実...。」
真夏は言ってから、
「━━有難う...。」
と呟くように言った。
上杉一実は、敵に塩アイスを送った...。
武田真夏は、マカロンに軽くキスをしてから食べた。
━━躑躅ヶ崎女子高天守。
真夏は大好きなマカロンを食べながら、今後の戦略を練っていた。
「ま、真夏様...。」
ガッカリしたような声で、真田純奈が天守に来た。
「あら純奈、どうしたの?」
と、真夏が訊く。
「━━ないんです、何処にも...。」
と、純奈が言った。
「何か失くしたの?」
真夏が心配そうにする。
「塩アイスがないんです...。
スーパーにもコンビニにも...。
どうやら、甲斐地区全域から塩アイスが消えたようです...。」
と、純奈が答えた。
「えーっ!!」
真夏は、両手で自分の頭を押さえて言った。
━━困った時に、頭を両手で押さえる...。
これも真夏の癖である...。
「私も好きなのに...。」
と、真夏もガッカリした。
━━塩アイスとは、以前ある女性アイドルグループのメンバーが、焼肉屋で食事をした際に、店員の《シューアイス》を《塩アイス》と聞き間違えたというエピソードがあり、それを商品化したもので、この時代の女子高生に大人気のデザートである。
「何で...。」
真夏はしばらく考えていたが、
「もしかして、今川...!?」
と呟いた。
塩アイスを製造してる工場は、駿河地区と相模地区にある。
きっと、同盟破棄に激怒した今川ちはるが、北条飛鳥と結託して工場から甲斐地区への出荷を止めたのだと、真夏は思った。
━━この時代の女子高生は、かなりの力を持っていて、大名クラスの女子高生なら、工場に頼んで出荷を止める事など、そう難しくはなかった。
「ちはると飛鳥め...。」
と、真夏は言った。
甲斐は、駿河と相模から塩アイス止めをくらってしまった。
「こうなったら、意地でも駿河を制圧するわ!!」
真夏は拳を握りしめて、
「純奈、戦の準備をお願い。」
と、純奈に言った。
「かしこまりました...。」
純奈は言ってから、
「ただ...。」
と言葉を濁した。
「どうしたの?」
真夏が訊く。
「今川は北条とも同盟を結んでいるので、すぐに動くのは危険かと...。」
と、純奈は言った。
━━真夏達が駿河に攻め込んだ隙に、北条が攻め込んで来るかも知れない...。
「━━それもそうね...。
少し様子を見ましょう。」
と、真夏は言った。
「甲斐の武田が、駿河と相模から塩アイス止めをされているようです。」
と、直江かりんが言った。
━━春日山女学院天守。
かりんと上杉一実は、窓から外を見ていた。
「そうみたいね。
きっと同盟破棄されたかからかもね。」
と、一実は答えた。
この時代の女子高生にとって、塩アイスはとても大切なデザートである。
勿論、一実やかりんも塩アイスが大好きだ。
「一方的に同盟破棄した真夏にも問題あるけど、それにしても塩アイス止めはやりすぎだよね...。」
と、一実はかりんを見た。
「少々、やりすぎかと...。」
と、かりんが答えた。
「......。」
一実は少し考えてから、
「かりんちゃん。」
と、声をかけた。
「はい。」
かりんは一実を見た。
「ちょっと、一緒に来て欲しいんだけど...。」
と、一実は言った。
━━数日後。
「真夏様!!」
と、純奈が天守に駆け込んで来た。
「どうしたの?」
真夏は、びっくりした様子で純奈を見た。
「塩アイスが入荷しました!!」
と、純奈は嬉しそうに言った。
両手には、塩アイスが沢山入った袋を持っていた。
「えっ、本当に!?」
と、真夏も笑顔になって、
「ちはるが、塩アイス止めを解除してくれたのね。」
と続けた。
「今川ではございません。」
と、純奈は答えた。
「え?なら飛鳥?」
と、真夏が訊く。
「北条でもございません。」
と純奈。
「じゃあ、誰が...?」
と、真夏は首を傾げた。
「越後の上杉一実様です。」
と、純奈は答えた。
「!?」
真夏は目を丸くした。
《上杉一実》の名前が出てくるとは、思ってもいなかったからだ。
「一実が!?」
と、真夏は言った。
「はい、塩アイスの工場が越後にもあるらしく、上杉一実様が越後の工場に、甲斐への出荷を頼んで下さったようです。」
と、純奈が言った。
━━純奈は、上杉一実の事を《一実様》と読んでいる。
同盟を結んでいる相手校ならまだしも、敵の大名に《様》を付けるのは珍しい。
一実は、その真っ直ぐな性格から、敵の女子高生達からも尊敬されているからである。
「一実...。」
真夏は言ってから、
「━━有難う...。」
と呟くように言った。
上杉一実は、敵に塩アイスを送った...。