To a loved one 〜愛しき者へ〜

上洛

佑美は、尾張と美濃を治める大名になった。

そして稲葉山女子高の名前を、《岐阜(ぎふ)女子高等学校》と改名した。
━━ここに、岐阜女子高が誕生した。

更に佑美は、甲斐の武田真夏とも同盟を結んだ。
これで東の今川と北条は、徳川七瀬と武田真夏が押さえてくれる。
佑美は、天下統一への準備を始めていた。


━━そんな時、事件は起きた...。

室町女学院高等部三年で、将軍の足利小百合が家臣達によって討たれた。
小百合は、文武に優れた女子高生であった。

相手に傷付けられて、膝まづきそうになっても、堪えて立上り、

「私のターンだ!!」
と、最後まで戦い続けた...。

しかし、最後には討ち取られてしまった。
更に、室町女学院そのものが、崩壊してしまったのだ。

足利小百合、高校三年生。
小さな百合の花が散った日である...。

そして、足利家の後継者争いが勃発した。
足利家の場合、単に大名の後継者とは訳が違う...。
大名としてだけでなく、将軍としての後継者にもなるからだ。

その後継者争いに負けた、室町女学院一年の足利理々杏(あしかが・りりあ)が、京都を追い出されてしまった。

理々杏は、ほんのりブラウンのストレートのロングが似合う、妹タイプの美少女である。
そして、理々杏は織田佑美に助けを求めたのだ。

佑美は、あの名門今川を破った女子高生。
その実力に、理々杏は目を付けた。

━━佑美は合理的な性格の為、自分にとってプラスになるかどうかを、瞬時に見極める力に長けていた。
理々杏を将軍にして、自分が補佐役になり、天下を取ろうとした。

そしてこの頃から佑美の家臣として、有能な女子高生が一人増えた。
岐阜女子高(旧稲葉山女子高)三年、明智玲香(あけち・れいか)である。
玲香は斎藤家の家臣であったが、佑美が美濃を制圧した為、織田の家臣となった。
茶髪のセミロングのストレートが似合う、キリッとした目が特徴の顔立ち、《お嬢様》という言葉が良く似合いそうな美少女だ。
それもそのはず、玲香は幼稚園からずっと女子校に通う、典型的なお嬢様タイプである。
全国の女子高生の中でも、トップクラスの賢さを持っており、当時、斎藤愛未の家臣でありながら、足利小百合達、将軍の家系からも信頼が厚かった。

その為、今回の理々杏と佑美の橋渡しをしたのも、玲香である。

そして、
《理々杏様を将軍にする!!》
という大義名分を掲げ、佑美は上洛(じょうらく)を決意した。

━━上洛とは、京に上る事である。
上洛にあたり、
「理々杏様を将軍にする事に賛成の者は、協力して欲しい。」
と、各地の大名達に呼びかけた。

すると近くの大名達が賛同して、協力する旨をブログなどで発表した。

しかし、滋賀県南近江(みなみおうみ)地区の観音寺(かんのんじ)女子高等学校だけは拒否したので、佑美は観音寺に攻め込み、武力によって制圧した。

そして、上洛を果たした佑美は、京都がある山城(やましろ)地区や、堺(さかい)の港がある大阪府の摂津(せっつ)地区などを手中に収めて、経済基盤を強化した。

そして理々杏は、将軍の座に就く事が出来たのである。

━━上洛後まもなく、理々杏が襲撃されるという事件が起きた。

理々杏が将軍に就くことに、反対している生徒の仕業だ。
間一髪の所で佑美達が助け出したので、一命は取り留めた...。

そこで佑美は、小百合と共に崩壊してしまった室町女学院を改修して、《二条(にじょう)女学院》と名を改め、理々杏に提供した。
理々杏は将軍とはいえ、まだ高校一年生である。

何かあっては困るので佑美は、《殿中御掟
(でんちゅうおんおきて)》というものを定めて、将軍である理々杏の行動を制限した。
理々杏は行動を制限された事に、納得が行かなかった。

最初は理々杏の方から佑美に頼ったのだが、この辺りから徐々に、佑美と理々杏の間に溝が出来始めたのだ...。
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