To a loved one 〜愛しき者へ〜
友情
「ハム、ハム、ハム...。」
大谷沙友理は食べて、
「うふふふ。」
と、ほっぺたに両手を当てて笑った。
「あんたねぇ...。」
石田絵梨花は、呆れたように、
「“ハムハム”言いながら食べてるから、
タマゴサンド食べてるのに、ハムサンド食べてるみたいよ。」
と言った。
「うーん、癖なのかなぁ…。」
沙友理は、首を傾げてから、
「うふふふ。」
また、ほっぺたに両手を当てて笑った。
━━沙友理は、無意識のうちに自分の行動に擬音を付けてしまうらしい。
あと、ほっぺたに両手を当てて笑うのも癖である。
呆れたような言い方をした絵梨花だが、そんな沙友理を見て癒されていた。
(この笑顔を守ってあげたい...
たとえ、敵味方に分かれても...)
そう、絵梨花は思っていた。
「沙友理...。」
と、絵梨花は訊いた。
「何?」
沙友理は、絵梨花を見た。
「私と一緒にいたら、徳川に潰されるかも知れないよ...。」
絵梨花は、少し間を置いて、
「徳川に付いてもいいんだよ。」
と言った。
「私は、絵梨花といるよ。」
沙友理は微笑してから、
「私の命は、絵梨花に預けたんだ...。
━━あの日から...。」
と、絵梨花を見つめた。
━━豊臣麻衣が生前の頃、麻衣が淹れた一杯のコーヒーを、絵梨花や沙友理など、役職が上の家臣達で回し飲みをして、絆を深めようという事が行われた。
しかし沙友理は、数日前に戦で顔を怪我してしまい、顔のあちこちが化膿してしまっていた。
麻衣が淹れたコーヒーが、徐々に回し飲みされて来る...。
そして、沙友理の所へコーヒーが来た。
顔中が化膿していて、自分でも気味が悪いくらいだったので、当然、他の家臣達も気味悪そうに見ていた。
沙友理は、コーヒーに顔が着かないように、飲んだ振りをしようとした...。
━━その時!!
沙友理の顔の化膿した場所から膿が落ちて、コーヒーの中に落ちてしまったのだ。
一同は、気味悪そうに見た。
沙友理は コーヒーカップを持ったまま、愕然としてしまった。
(どうしよう...)
沙友理は、泣きそうだった。
すると、
「沙友理、あとがつかえてるんだから、早くしてよね。」
絵梨花が、沙友理からコーヒーカップを奪い取って、沙友理の膿が落ちたコーヒーを、一気に全部飲み干した!!
そしてそのあと、コーヒーカップを落として割ってしまった。
すぐに絵梨花は、
「麻衣様、申し訳ございません!!
麻衣様の淹れたコーヒーが美味しくて、全部飲んでしまいました。
おまけに手を滑らせて、コーヒーカップまで割ってしまいました。
申し訳ございませんが、新しいコーヒーカップで淹れ直して頂けないでしょうか?」
と、深々と頭を下げた。
「絵梨花は、ホントに欲張りなんだから。
仕方ないわね、新しいコーヒーカップで淹れ直します。」
と麻衣は言って、新しいコーヒーカップで淹れ直して、会は無事に終了した。
━━当然、麻衣は全てを察していた。
絵梨花にしか出来ない神対応だ。
絵梨花は沙友理を守ったのだ。
あのままいけば、他の家臣達は気味悪がったり、飲まなかったり、大騒ぎしそうだったからだ。
そんな事になれば、沙友理が傷付くだろう...。
それだけは、阻止したかった。
その会が終わり、みんなが帰ったあと、
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
沙友理は、泣きながら絵梨花に謝った。
「何で謝るの?」
と、絵梨花が訊いた。
「私の為に...あんな事を...。」
沙友理は言った。
「━━私達、親友でしょ?」
絵梨花は沙友理を見て、
「親友は...いつも一緒...。
辛い時も...ううん、辛い時にこそ、一緒にいて分かち合うの。
そうすれば、喜びは倍に、悲しみは半分になるわ。」
と言った。
沙友理は、嬉しくて大泣きした...。
━━この時、沙友理は命懸けで絵梨花を守ると決めた...。
「ありがとう。」
絵梨花は、沙友理を見て、
「良かったら沙友理の弟と、未央奈を交際させたいんだけど...。」
と言った。
「いいわよ。」
と、沙友理は答えた。
━━そして、絵梨花は真田未央奈に連絡をして、事情を説明した。
━━数日後。
大坂女学園近くのファミリーレストランで、真田未央奈と沙友理の弟、大谷大志(おおたに・たいし)は会った。
大谷大志、中学三年生。
スラリとした長身のイケメンだ。
そして、二人の交際は始まった。
━━太陽3年9月の初旬から、東軍の攻撃が始まった。
次々と西軍の学校が攻め落とされた。
徳川七瀬の軍は、絵梨花の挙兵を知って、越後の上杉ではなく、関ヶ原方面へ向かった。
━━9月14日の夜。
ついに、絵梨花と沙友理は、七瀬を討つべく、
美濃地区関ヶ原(せきがはら)に陣を構えた。
ついに、その日が来た...。
大谷沙友理は食べて、
「うふふふ。」
と、ほっぺたに両手を当てて笑った。
「あんたねぇ...。」
石田絵梨花は、呆れたように、
「“ハムハム”言いながら食べてるから、
タマゴサンド食べてるのに、ハムサンド食べてるみたいよ。」
と言った。
「うーん、癖なのかなぁ…。」
沙友理は、首を傾げてから、
「うふふふ。」
また、ほっぺたに両手を当てて笑った。
━━沙友理は、無意識のうちに自分の行動に擬音を付けてしまうらしい。
あと、ほっぺたに両手を当てて笑うのも癖である。
呆れたような言い方をした絵梨花だが、そんな沙友理を見て癒されていた。
(この笑顔を守ってあげたい...
たとえ、敵味方に分かれても...)
そう、絵梨花は思っていた。
「沙友理...。」
と、絵梨花は訊いた。
「何?」
沙友理は、絵梨花を見た。
「私と一緒にいたら、徳川に潰されるかも知れないよ...。」
絵梨花は、少し間を置いて、
「徳川に付いてもいいんだよ。」
と言った。
「私は、絵梨花といるよ。」
沙友理は微笑してから、
「私の命は、絵梨花に預けたんだ...。
━━あの日から...。」
と、絵梨花を見つめた。
━━豊臣麻衣が生前の頃、麻衣が淹れた一杯のコーヒーを、絵梨花や沙友理など、役職が上の家臣達で回し飲みをして、絆を深めようという事が行われた。
しかし沙友理は、数日前に戦で顔を怪我してしまい、顔のあちこちが化膿してしまっていた。
麻衣が淹れたコーヒーが、徐々に回し飲みされて来る...。
そして、沙友理の所へコーヒーが来た。
顔中が化膿していて、自分でも気味が悪いくらいだったので、当然、他の家臣達も気味悪そうに見ていた。
沙友理は、コーヒーに顔が着かないように、飲んだ振りをしようとした...。
━━その時!!
沙友理の顔の化膿した場所から膿が落ちて、コーヒーの中に落ちてしまったのだ。
一同は、気味悪そうに見た。
沙友理は コーヒーカップを持ったまま、愕然としてしまった。
(どうしよう...)
沙友理は、泣きそうだった。
すると、
「沙友理、あとがつかえてるんだから、早くしてよね。」
絵梨花が、沙友理からコーヒーカップを奪い取って、沙友理の膿が落ちたコーヒーを、一気に全部飲み干した!!
そしてそのあと、コーヒーカップを落として割ってしまった。
すぐに絵梨花は、
「麻衣様、申し訳ございません!!
麻衣様の淹れたコーヒーが美味しくて、全部飲んでしまいました。
おまけに手を滑らせて、コーヒーカップまで割ってしまいました。
申し訳ございませんが、新しいコーヒーカップで淹れ直して頂けないでしょうか?」
と、深々と頭を下げた。
「絵梨花は、ホントに欲張りなんだから。
仕方ないわね、新しいコーヒーカップで淹れ直します。」
と麻衣は言って、新しいコーヒーカップで淹れ直して、会は無事に終了した。
━━当然、麻衣は全てを察していた。
絵梨花にしか出来ない神対応だ。
絵梨花は沙友理を守ったのだ。
あのままいけば、他の家臣達は気味悪がったり、飲まなかったり、大騒ぎしそうだったからだ。
そんな事になれば、沙友理が傷付くだろう...。
それだけは、阻止したかった。
その会が終わり、みんなが帰ったあと、
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
沙友理は、泣きながら絵梨花に謝った。
「何で謝るの?」
と、絵梨花が訊いた。
「私の為に...あんな事を...。」
沙友理は言った。
「━━私達、親友でしょ?」
絵梨花は沙友理を見て、
「親友は...いつも一緒...。
辛い時も...ううん、辛い時にこそ、一緒にいて分かち合うの。
そうすれば、喜びは倍に、悲しみは半分になるわ。」
と言った。
沙友理は、嬉しくて大泣きした...。
━━この時、沙友理は命懸けで絵梨花を守ると決めた...。
「ありがとう。」
絵梨花は、沙友理を見て、
「良かったら沙友理の弟と、未央奈を交際させたいんだけど...。」
と言った。
「いいわよ。」
と、沙友理は答えた。
━━そして、絵梨花は真田未央奈に連絡をして、事情を説明した。
━━数日後。
大坂女学園近くのファミリーレストランで、真田未央奈と沙友理の弟、大谷大志(おおたに・たいし)は会った。
大谷大志、中学三年生。
スラリとした長身のイケメンだ。
そして、二人の交際は始まった。
━━太陽3年9月の初旬から、東軍の攻撃が始まった。
次々と西軍の学校が攻め落とされた。
徳川七瀬の軍は、絵梨花の挙兵を知って、越後の上杉ではなく、関ヶ原方面へ向かった。
━━9月14日の夜。
ついに、絵梨花と沙友理は、七瀬を討つべく、
美濃地区関ヶ原(せきがはら)に陣を構えた。
ついに、その日が来た...。