To a loved one 〜愛しき者へ〜
方広寺事件
真田未央奈は、関ヶ原の戦いで、ショックを受けていた...。
━━ここは、和歌山県紀伊地区、九度山女学園中等部。
長野県信濃地区小県の上田女子高附属中学から、ここへ転校させられたのもショックではあるが、それはそこまでショックではなかった。
━━石田絵梨花達の事である...。
石田絵梨花は、捕まって処刑されてしまった。
大谷沙友理は、戦で命を落とした。
沙友理は、未央奈の彼氏である大志の姉でもある。
━━小田原攻めの前日、みんなで焼肉を食べた時の事を、思い出していた。
上杉史緒里と直江かりんが、米沢女学院に転校させられた事で、二人との思い出が詰まった春日山女学院も、今は別の大名の学校になっている...。
すぐ上の姉の美彩は、徳川七瀬側に付いていて、なかなか会えない...。
━━そんな未央奈に、更に悲劇が訪れた。
一番上の姉で、一緒に九度山女学園へと転校させられていた、純奈が病気でこの世を去ってしまった。
真田純奈、高校三年生。
文武に長け、圧倒的な数の差の徳川珠美の軍勢を退けた、戦の天才も病気には勝てず、美しく幕を下ろした...。
未央奈にとって、大切な人達や思い出達が、奪われていく...。
このまま争いが続けば、姉の美彩の命も危ない。
━━この一連の出来事は、純奈の病死以外、全て徳川七瀬が関係している...。
しかし、不思議な事に未央奈は、七瀬を恨む気にはなれなかった…。
七瀬本人の意思とは、別の力が働いている気がしていた。
(そんなに悪い人には思えない...)
未央奈は思っていた...。
━━豊臣蓮加の可愛がっていた、愛犬が病死した。
蓮加が生まれた時から飼い始めたので、かれこれ十三年も一緒にいた愛犬で、《瀬七(せな)》という。
蓮加は愛犬の為に、お墓を建ててあげる事にした。
京都府山城地区にある方広寺(ほうこうじ)に、愛犬のお墓は建てられた。
蓮加にとって大切な家族だったので、《豊臣瀬七之墓(とよとみせなのはか)》と墓石に彫って貰った。
この建てられた愛犬の墓を、ある少女達が見ていた...。
『これは、徳川七瀬様に対する呪いである!!』
と、例の葵会が騒ぎ出した。
七瀬は、もう将軍を妹の珠美に譲って、第一線から退いてはいるが、カリスマ性が強く、未だに神推しされている。
━━この葵会が批判をした。
「七瀬様の名前を二つに割って、上下を逆さまにして、更に《豊臣》の文字を頭に置くなどと、七瀬様及び徳川幕府への挑発である。」
と言い出したのだ。
━━誰かれともなく言い出したのだが、収集がつかないくらいの大騒ぎになった。
これが、群集心理(ぐんしゅうしんり)というやつで、
《赤信号、みんなで渡れば怖くない...。》
と同じ発想である。
そして、
・豊臣蓮加は毎月、江戸の徳川幕府まで挨拶に来る事。
・人質として、豊臣家の家臣を江戸女学院に置く事。
・豊臣蓮加は、速やかに大坂女学園中等部から立去る事
などの要求をしてきた。
これには、さすがの蓮加も頭に来た。
そもそも飼い犬の《瀬七》という名前は、十三年も前に付けたもので、徳川七瀬の存在を知る前である。
家族の一員だから、《豊臣》を付けただけで、それ以外に意味などない。
━━蓮加は、全ての要求を拒否した。
これに対して、納得出来ない葵会は、
「豊臣は、徳川家や将軍の珠美様を挑発してます。」
と、将軍の珠美に訴えかけた。
葵会は、妹の珠美をサポートする事も、七瀬の為になると思っていたからだ。
━━珠美も、ここで何か自分で成し遂げたかった。
珠美は、小さい時から文武に長けていたが、目立てなかったのは、姉の七瀬が凄すぎたからだ。
学校のテストも、珠美はいつも90点から95点を取っていたが、姉の七瀬は常に98点以上取っていた。
何一つ、姉に勝てなかった。
珠美は、かなりのコンプレックスを持っていた。
(どんな事でもいいから姉に勝ちたい...)
と、常に思っていた。
そんな時に、葵会からの訴え...。
珠美は、この訴えに応えて、豊臣蓮加を討つ決心をした。
『将軍、徳川珠美様が大坂女学園を攻める』
この話は、一気に全国へと広まった。
━━当然、蓮加も珠美の出陣を知って、戦の準備を始めた。
大坂女学園中等部から、大坂女学園高等部の天守へ移った。
━━和歌山県紀伊地区九度山女学園付近。
未央奈は、学校の帰りで歩いていた。
ふいに、未央奈の携帯が鳴った!!
誰かからメールが来たようだ。
未央奈は、携帯を取り出してメールを見た。
━━豊臣蓮加からだった。
『未央奈さん、助けて!!』
━━ここは、和歌山県紀伊地区、九度山女学園中等部。
長野県信濃地区小県の上田女子高附属中学から、ここへ転校させられたのもショックではあるが、それはそこまでショックではなかった。
━━石田絵梨花達の事である...。
石田絵梨花は、捕まって処刑されてしまった。
大谷沙友理は、戦で命を落とした。
沙友理は、未央奈の彼氏である大志の姉でもある。
━━小田原攻めの前日、みんなで焼肉を食べた時の事を、思い出していた。
上杉史緒里と直江かりんが、米沢女学院に転校させられた事で、二人との思い出が詰まった春日山女学院も、今は別の大名の学校になっている...。
すぐ上の姉の美彩は、徳川七瀬側に付いていて、なかなか会えない...。
━━そんな未央奈に、更に悲劇が訪れた。
一番上の姉で、一緒に九度山女学園へと転校させられていた、純奈が病気でこの世を去ってしまった。
真田純奈、高校三年生。
文武に長け、圧倒的な数の差の徳川珠美の軍勢を退けた、戦の天才も病気には勝てず、美しく幕を下ろした...。
未央奈にとって、大切な人達や思い出達が、奪われていく...。
このまま争いが続けば、姉の美彩の命も危ない。
━━この一連の出来事は、純奈の病死以外、全て徳川七瀬が関係している...。
しかし、不思議な事に未央奈は、七瀬を恨む気にはなれなかった…。
七瀬本人の意思とは、別の力が働いている気がしていた。
(そんなに悪い人には思えない...)
未央奈は思っていた...。
━━豊臣蓮加の可愛がっていた、愛犬が病死した。
蓮加が生まれた時から飼い始めたので、かれこれ十三年も一緒にいた愛犬で、《瀬七(せな)》という。
蓮加は愛犬の為に、お墓を建ててあげる事にした。
京都府山城地区にある方広寺(ほうこうじ)に、愛犬のお墓は建てられた。
蓮加にとって大切な家族だったので、《豊臣瀬七之墓(とよとみせなのはか)》と墓石に彫って貰った。
この建てられた愛犬の墓を、ある少女達が見ていた...。
『これは、徳川七瀬様に対する呪いである!!』
と、例の葵会が騒ぎ出した。
七瀬は、もう将軍を妹の珠美に譲って、第一線から退いてはいるが、カリスマ性が強く、未だに神推しされている。
━━この葵会が批判をした。
「七瀬様の名前を二つに割って、上下を逆さまにして、更に《豊臣》の文字を頭に置くなどと、七瀬様及び徳川幕府への挑発である。」
と言い出したのだ。
━━誰かれともなく言い出したのだが、収集がつかないくらいの大騒ぎになった。
これが、群集心理(ぐんしゅうしんり)というやつで、
《赤信号、みんなで渡れば怖くない...。》
と同じ発想である。
そして、
・豊臣蓮加は毎月、江戸の徳川幕府まで挨拶に来る事。
・人質として、豊臣家の家臣を江戸女学院に置く事。
・豊臣蓮加は、速やかに大坂女学園中等部から立去る事
などの要求をしてきた。
これには、さすがの蓮加も頭に来た。
そもそも飼い犬の《瀬七》という名前は、十三年も前に付けたもので、徳川七瀬の存在を知る前である。
家族の一員だから、《豊臣》を付けただけで、それ以外に意味などない。
━━蓮加は、全ての要求を拒否した。
これに対して、納得出来ない葵会は、
「豊臣は、徳川家や将軍の珠美様を挑発してます。」
と、将軍の珠美に訴えかけた。
葵会は、妹の珠美をサポートする事も、七瀬の為になると思っていたからだ。
━━珠美も、ここで何か自分で成し遂げたかった。
珠美は、小さい時から文武に長けていたが、目立てなかったのは、姉の七瀬が凄すぎたからだ。
学校のテストも、珠美はいつも90点から95点を取っていたが、姉の七瀬は常に98点以上取っていた。
何一つ、姉に勝てなかった。
珠美は、かなりのコンプレックスを持っていた。
(どんな事でもいいから姉に勝ちたい...)
と、常に思っていた。
そんな時に、葵会からの訴え...。
珠美は、この訴えに応えて、豊臣蓮加を討つ決心をした。
『将軍、徳川珠美様が大坂女学園を攻める』
この話は、一気に全国へと広まった。
━━当然、蓮加も珠美の出陣を知って、戦の準備を始めた。
大坂女学園中等部から、大坂女学園高等部の天守へ移った。
━━和歌山県紀伊地区九度山女学園付近。
未央奈は、学校の帰りで歩いていた。
ふいに、未央奈の携帯が鳴った!!
誰かからメールが来たようだ。
未央奈は、携帯を取り出してメールを見た。
━━豊臣蓮加からだった。
『未央奈さん、助けて!!』