To a loved one 〜愛しき者へ〜
愛未の覚悟と佑美の決意...
━━岐阜県にある長良川(ながらがわ)。
岐阜県郡上市(ぐじょうし)にある大日ヶ岳(だいにちがたけ)から三重県へと流れて行く、木曽川(きそがわ)系の綺麗な川である。
その川を挟んで、愛未の軍と綾乃の軍は対峙していた。
愛未軍が二千七百人に対して、綾乃軍は一万七千五百人という、圧倒的な数だ。
勝敗は、既に決まっているようなものだった...。
しかし、愛未にも大名としてのプライドがある。
逃げる訳にはいかない...。
「......。」
愛未は黙ったまま、両手で何かを空から引っ張り降ろすような仕草をした。
「━━愛未様、何をなさってるのですか?」
と、家臣の一人が訊いた。
「━━ん?これ?」
と言うと、
「勝利を引き寄せる為の、おまじないみたいなものかな。
私はこれを《引き寄せの法則》と呼んでる。」
と微笑した。
「━━愛未様!!」
と、一人の家臣が近付いて来た。
「織田佑美様の家臣の羽柴麻衣様より、愛未様の援護に向っているとのメールが来ました。」
━━引き寄せの法則が効いたのであろうか?
家臣達は喜び出した。
「━━佑美の奴...。」
愛未は呟くように言った。
「━━みんな...。」
愛未は、家臣達を見た。
「......。」
家臣達も愛未を見た。
「━━佑美の援軍を待たずに...突撃する...。」
愛未は呟くように言った。
「!?」
家臣達は驚いた。
「佑美は今、東からの今川に備えて、大変な時期だ...。
そんな時に、佑美を巻込みたくない...。」
と、愛未は言った。
「だから私は、佑美を待たずに突撃する...。
命が惜しい者は...去っても良いよ...。」
と、家臣達に告げた。
「━━私の命は、愛未様にお預け致します。」
と、一人の家臣が言った。
すると他の家臣達も、
「私もです...。」
と続いた。
「それに...。」
一人の家臣が言いかけた。
「ん?」
愛未は、その家臣を見た。
「この戦に勝って、綾乃様には、また、いつものような優しい、フワフワした綾乃様に戻って欲しいのです...。」
と、その家臣は言った。
他の家臣達も、黙って頷いた。
「━━みんな...有難う...。」
と、愛未は薄ら涙を浮かべた。
「━━愛未様、先程の引き寄せの法則を全員でやりましょう。」
と、家臣の一人が言った。
「そうだね...。」
と、愛未は微笑した。
そして愛未の軍全員が、
「私達の勝利を...引き寄せるぞ!!」
と、両手で空から何かを引っ張り降ろす仕草をした。
「何をしているんだろう?」
と綾乃軍の生徒達は、不思議そうな顔で見ていた。
━━そして、
「突撃!!」
愛未の号令と共に、愛未軍の女生徒が、一斉に綾乃軍の女生徒に向かって突撃を開始した...。
━━Ninjaに乗った麻衣が、佑美の運転するシーマに近付いて来た。
「━━どうしたの?」
佑美は、車を止めて窓を開けて訊いた。
━━佑美達は愛未の援軍として、長良川に向かう途中である。
「━━今、斎藤愛未様が...命を...落とされたとの...連絡が...ありました...。」
と、麻衣が薄ら涙を浮かべた。
「......!?」
佑美は言葉を失った...。
「━━麻衣...引き上げよう...。」
と、佑美が呟くように言った。
「かしこまりました。」
麻衣は、頷くと他の家臣達に引き上げるように指示をした。
━━斎藤愛未、高校三年生。
儚くて美しい華が散った日である...。
━━ここは、尾張地区にある神社。
佑美は、淳を呼び出していた。
「淳...。」
と、佑美は涙を浮かべると、
「申し訳ない...。
愛未を...お姉さんを...助けてあげられなかった...。」
と、深々と頭を下げた。
「......。」
淳は、しばらく黙っていたが、
「佑美さんの...せいじゃないよ…。」
と言った。
「...!?」
佑美が顔を上げる。
「それに今回の件で、美濃との同盟は破棄になった...。
淳は...どうする? 」
と、佑美は訊いた。
「どうするって?」
淳は、佑美を見た。
「私と...別れて...美濃に戻る?」
と、佑美が訊いた。
「━━僕は、佑美さんと...一緒にいたい...。」
淳が答える。
「━━い、いいの?」
佑美は、淳を見つめた。
淳は黙って頷いた。
「━━ありがとう。
......でも...。」
と、佑美は言って、
「私は、綾乃を討とうと思っている。
━━もう一人のお姉さんも...失うかも知れないんだよ。」
と続けた。
「━━うん、俺にはもう、佑美さんしか...いないから。」
と、淳は頷いた。
佑美は、綾乃を討つ決心をした...。
岐阜県郡上市(ぐじょうし)にある大日ヶ岳(だいにちがたけ)から三重県へと流れて行く、木曽川(きそがわ)系の綺麗な川である。
その川を挟んで、愛未の軍と綾乃の軍は対峙していた。
愛未軍が二千七百人に対して、綾乃軍は一万七千五百人という、圧倒的な数だ。
勝敗は、既に決まっているようなものだった...。
しかし、愛未にも大名としてのプライドがある。
逃げる訳にはいかない...。
「......。」
愛未は黙ったまま、両手で何かを空から引っ張り降ろすような仕草をした。
「━━愛未様、何をなさってるのですか?」
と、家臣の一人が訊いた。
「━━ん?これ?」
と言うと、
「勝利を引き寄せる為の、おまじないみたいなものかな。
私はこれを《引き寄せの法則》と呼んでる。」
と微笑した。
「━━愛未様!!」
と、一人の家臣が近付いて来た。
「織田佑美様の家臣の羽柴麻衣様より、愛未様の援護に向っているとのメールが来ました。」
━━引き寄せの法則が効いたのであろうか?
家臣達は喜び出した。
「━━佑美の奴...。」
愛未は呟くように言った。
「━━みんな...。」
愛未は、家臣達を見た。
「......。」
家臣達も愛未を見た。
「━━佑美の援軍を待たずに...突撃する...。」
愛未は呟くように言った。
「!?」
家臣達は驚いた。
「佑美は今、東からの今川に備えて、大変な時期だ...。
そんな時に、佑美を巻込みたくない...。」
と、愛未は言った。
「だから私は、佑美を待たずに突撃する...。
命が惜しい者は...去っても良いよ...。」
と、家臣達に告げた。
「━━私の命は、愛未様にお預け致します。」
と、一人の家臣が言った。
すると他の家臣達も、
「私もです...。」
と続いた。
「それに...。」
一人の家臣が言いかけた。
「ん?」
愛未は、その家臣を見た。
「この戦に勝って、綾乃様には、また、いつものような優しい、フワフワした綾乃様に戻って欲しいのです...。」
と、その家臣は言った。
他の家臣達も、黙って頷いた。
「━━みんな...有難う...。」
と、愛未は薄ら涙を浮かべた。
「━━愛未様、先程の引き寄せの法則を全員でやりましょう。」
と、家臣の一人が言った。
「そうだね...。」
と、愛未は微笑した。
そして愛未の軍全員が、
「私達の勝利を...引き寄せるぞ!!」
と、両手で空から何かを引っ張り降ろす仕草をした。
「何をしているんだろう?」
と綾乃軍の生徒達は、不思議そうな顔で見ていた。
━━そして、
「突撃!!」
愛未の号令と共に、愛未軍の女生徒が、一斉に綾乃軍の女生徒に向かって突撃を開始した...。
━━Ninjaに乗った麻衣が、佑美の運転するシーマに近付いて来た。
「━━どうしたの?」
佑美は、車を止めて窓を開けて訊いた。
━━佑美達は愛未の援軍として、長良川に向かう途中である。
「━━今、斎藤愛未様が...命を...落とされたとの...連絡が...ありました...。」
と、麻衣が薄ら涙を浮かべた。
「......!?」
佑美は言葉を失った...。
「━━麻衣...引き上げよう...。」
と、佑美が呟くように言った。
「かしこまりました。」
麻衣は、頷くと他の家臣達に引き上げるように指示をした。
━━斎藤愛未、高校三年生。
儚くて美しい華が散った日である...。
━━ここは、尾張地区にある神社。
佑美は、淳を呼び出していた。
「淳...。」
と、佑美は涙を浮かべると、
「申し訳ない...。
愛未を...お姉さんを...助けてあげられなかった...。」
と、深々と頭を下げた。
「......。」
淳は、しばらく黙っていたが、
「佑美さんの...せいじゃないよ…。」
と言った。
「...!?」
佑美が顔を上げる。
「それに今回の件で、美濃との同盟は破棄になった...。
淳は...どうする? 」
と、佑美は訊いた。
「どうするって?」
淳は、佑美を見た。
「私と...別れて...美濃に戻る?」
と、佑美が訊いた。
「━━僕は、佑美さんと...一緒にいたい...。」
淳が答える。
「━━い、いいの?」
佑美は、淳を見つめた。
淳は黙って頷いた。
「━━ありがとう。
......でも...。」
と、佑美は言って、
「私は、綾乃を討とうと思っている。
━━もう一人のお姉さんも...失うかも知れないんだよ。」
と続けた。
「━━うん、俺にはもう、佑美さんしか...いないから。」
と、淳は頷いた。
佑美は、綾乃を討つ決心をした...。