守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「……大将かチーフに服借りてきます」


そう言って1階に向かおうとするが、その前に彼に腕を掴まれた。


「だ、大丈夫です」

「で、でもその恰好では……」


モデル並みの身長と、整った顔で小さいジャージも着こなしてはいるが……。
それで外に出たら補導されそうだ。
それに油断すると笑ってしまいそうになる。


「本当に大丈夫です! これ以上迷惑を掛ける訳には行きません! お、お店に戻りましょう!!」

「え……ちょっと待ってください!」
 

濡れた服を抱えながら山瀬さんは下へと降りていく。

それを慌てて追いかけるが既に遅かったみたいだ。


「山瀬何だよその恰好!!」

「やばっ!! 笑いすぎて腹痛い!!」


ゲラゲラと笑う他のお客様たち。
でも山瀬さんは気にする事無く席に戻っていた。


「……海咲……あれしかなかったのか?」

「……あれでも1番大きい奴です」

「ははっ……チビだな……」


2つ年上のチーフに呆れられた様に見つめられた。
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