守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
***
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
団体客のお会計が終わり外まで見送った。
店の中へと入ろうとすると、何故か山瀬さんがこちらへと戻ってくる。
「あの!」
「は、はい」
「ジャージ返しにきますから!」
「え? あ、いえ……というよりその恰好で帰られるのはちょっと……」
不審者扱いを受けないかが心配だ。
苦笑いを浮かべていれば山瀬さんはいつの間にか遠くの方で手を振っていた。
「絶対返しにきますから!」
「え!? ちょっと待ってくださ……」
「ではまた! おやすみなさい!!」
大きく手を振る山瀬さんに呆れながらも小さく笑っている自分がいることに気が付いた。
「……笑ったの久しぶりかも」
作った笑顔じゃない、本当の笑顔。
随分前、高校生の時に失われたそれ。
もう笑う事なんてないと思っていたのに……。
「……変な人」
小さな声は夜空へと吸い込まれていく。
決して誰にも届く事も無く。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
団体客のお会計が終わり外まで見送った。
店の中へと入ろうとすると、何故か山瀬さんがこちらへと戻ってくる。
「あの!」
「は、はい」
「ジャージ返しにきますから!」
「え? あ、いえ……というよりその恰好で帰られるのはちょっと……」
不審者扱いを受けないかが心配だ。
苦笑いを浮かべていれば山瀬さんはいつの間にか遠くの方で手を振っていた。
「絶対返しにきますから!」
「え!? ちょっと待ってくださ……」
「ではまた! おやすみなさい!!」
大きく手を振る山瀬さんに呆れながらも小さく笑っている自分がいることに気が付いた。
「……笑ったの久しぶりかも」
作った笑顔じゃない、本当の笑顔。
随分前、高校生の時に失われたそれ。
もう笑う事なんてないと思っていたのに……。
「……変な人」
小さな声は夜空へと吸い込まれていく。
決して誰にも届く事も無く。