守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「お疲れ様です……って混んでるな~」


その1時間後、漸くチーフが店へとやって来た。

チーフを見た瞬間に心の底から安心する。

これで漸く楽になる。
チーフの働きぶりは尊敬に値する。

そう思っていれば、チーフはいきなり顔を顰める。


「アイツらは?」


アイツらとはバイトの子たちの事だろう。


「帰りました」


ポケットにしまっていた置手紙をチーフに押し付けて仕事へと戻る。


「……これだからバイトは嫌なんだよ……」

「店で愚痴るなよ」


舌打ちをする勢いのチーフに大将が喝を入れる。

まあ気持ちは分かるが。


「はーい。まあ、バイトで立派になったのはお前だけだな」

「からかわないで下さいよ」


チーフに優しい笑顔で見つめられると少しくすぐったい気持ちになる。

照れ臭くて顔を逸らせば、ガラッと扉が開いた。


「いらっしゃいま……あっ」


最後まで言えなかったのは知った顔が入ってきたからだ。
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