守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
***


「花蓮」

「拓海先輩」


沢山の人が行き交う交差点。
そこに先輩を呼び出した私。

待ち合わせをこの場所にしたのは本当の意味で前に進むため。

ここから始まった誤解。
後悔ばかりの人生だったけど……。

もう迷ったりなんかしない。

そう思い口を開こうとしたが、先を越されたみたいだ。


「そんな顔をするな。お前の答えなんて聞かなくても分かっている」

「……え……」


拓海先輩は口元を緩めると静かに笑った。
哀しそうな、寂しそうな笑顔で。


「お前にとって俺は過去の男。……って事だろう?」

「……私……」

「出逢った時から分かってた。お前がある人を特別な目で見てたことくらい」

「……」


大きく目を開ければ拓海先輩は可笑しそうに笑った。
< 281 / 297 >

この作品をシェア

pagetop