守りたい、不器用な人。～貴方と始める最後の恋～

「まあ、まだ新人ですからね。大目に見てあげてください」

「尻拭いするのはお前だがな！」


二カッと笑う大将を殴ってやりたい。
そう思うのは私だけだろうか。

あはは、と苦笑いを浮かべながらも仕事に専念する。

だけど、ふとバイトの子たちの会話が頭に浮かんだ。


「遊びなのに本気になった、……か」


ボソリと呟いた声は誰にも届かない。

思い出したくもない私の過去。

それを断ち切る様に包丁で魚をさばいていく。


「海咲……」


大将は私の表情から何かを読み取ったのか眉を下げてこっちを見ていた。


「大将！　もうすぐ団体さん来る時間ですよね！？　準備しますね！」


そんな大将の顔は見ていられない。
私のせいだとは分かってはいるが逃げる様に奥へと引っ込んだ。