守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「よっし、じゃあ……さっさとアイス食って寝ろ」

「え……アイスってこれは大将が……」


最後まで言えなかったのは大将が顔を真っ赤にしながら頭を掻いていたから。
そんな顔は見た事なくて、思わず瞬きを繰り返してしまう。


「も、もう気分じゃねぇんだよ! それだけだ!」

「……分かりました。じゃあ頂きます」

「お、おう……海咲」

「はい」

「……水沢は上に行ったし、俺も上がる。
だから……ココで食っとけ……」


よく意味が分からなかったが大将の言葉に頷く。


「じゃあな」

「おやすみなさい」

「おやすみ」


階段の奥に消えて行った大将。
暫く目が離せずに立ち止まっていた。
< 58 / 297 >

この作品をシェア

pagetop