守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「海咲! とにかく仕事は無し、今日は休みだ」

「な、何でですか!約束……」


私の話を聞いても大将の答えは変わらなかった。
それに反発して食って掛ろうとした私の腕を掴んだのはチーフだ。


「まあまあ、落ち着けよ」

「でも……」

「仕事じゃなくても会えばいいだろう?」

「え……?」


チーフは何も言わなかったが不敵な笑みは変わらない。
首を傾げる私とは対称に大将は納得した様に頷いた。


「ああ、お前も店で食事すればいいだろう! それなら約束も守れるし、ブラック企業にもならねぇし、売り上げにもなる! 一石三鳥じゃねぇか!!」

「はい!?」


豪快に笑うと大将は私の隣へとやって来て肩を組んだ。


「いいな、そうしろ!!」

「ちょっ……」

「決まりだ決まり!」


大将は何度か私の肩を叩き立ち上がった。
そして、笑いながら自室へと戻って行ってしまう。


「よかったな? 丸く収まって」

「ち、チーフ……」

「じゃあガンバレヨ」


チーフも大将と同じ様に私の肩を何度か叩くと自室へと戻って行った。


「が、頑張れって……何を……」


チーフたちが変な事を言ったせいで変な緊張が胸に募っていく。
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