守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「すみません……驚いてしまって……つい……」


山瀬さんは落ち込んだように俯いてしまった。


「あ、謝らないで下さい。大丈夫ですから」


何故だろう。
山瀬さんの哀しそうな顔は見たくない。

慌てて首を横に振って山瀬さんを席に促す。
私も空いていた山瀬さんの隣に腰を掛けて笑顔を浮かべた。


「今日は仕事が休みなんです。だから私服で……驚かせてしまってすみません」

「い、いえ! 謝らないで下さい!!
ミサキさんがお休みなのは水沢さんから聞きました。だから会えないとばかり思ってて……」

「え……」


いきなり寂しそうな顔をする山瀬さん。
この顔はさっき最初に見かけた時と同じ顔だった。

もしかして……。
私と会えない事を寂しく思ってくれていたのだろうか。


「……す、すみません! 俺が勝手に来てるだけなのに……」

「いえ……嬉しいです」

「え?」

「あ、いえ、その……約束したから昨日……」

「約束……もしかして昨日俺がまた明日って言ったから……」


山瀬さんは私の言葉にハッと息を呑んだ。
何も答えられない私を見て図星だと思ったのか、一気に顔が紅くなっていく。
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