守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「嬉しい……嬉しいです凄く!!」

「や、山瀬さん! 声!」

「あっ……」


興奮気味に私の方を向く山瀬さん。
大きな声は勿論、店内に広がりあちこちから視線が向かって来ていた。


「お客様、店内ではお静かにお願いします」


チーフが不敵な笑みで私たちを見てくる。
苦笑いを返して2人で謝っていた。


「……」

「……」


声が重なった事に顔を見合わせて、どちらからともなく笑い出した。


「……私服だと雰囲気変わりますね……」

「そうですか?」


自分だとあまり分からないが。
そういうものなのかな?
自分の体を見ながら首を傾げた。


「凄く……かわ……」

「かわ……?」

「かわ……カワウソ……」

「ぷっ!!」


思わず吹き出してしまう。

だってカワウソって……。
今まで何回か聞いたけど意味分からない。

1人で笑っていれば山瀬さんは呆然と私を見つめていた。
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